現状最安のスナドラ845スマホ「Xiaomi Poco F1」実機レビュー
- 2018-11-16
- 2018-11-17
今年の8月始動したXiaomiのインド向けブランド「POCO」。その初号機「Poco F1」(Pocophone F1)を購入したので、実機レビューをお届けします。
Xiaomi Poco F1 6GB RAM + 64GB ROM
目次
ハイエンドでも格安なPocophone
Xiaomiのスマートフォンは、可能な限りコストダウンを図ったエントリークラスRedmiブランドと、高級志向でありながら他社のハイエンド端末よりも価格を抑えたMiブランドで展開されてきましたが、スマホ激戦区であるインド市場でシェアを広げるために「POCO」という切り札を出してきました。インド向けには「POCO by Xiaomi」として、グローバル向けには「POCOPHONE by Xiaomi」として展開しています。
ハイエンドでなおかつ安価というのがPocophoneの売りで、いわばRedmiシリーズとMiシリーズの良いとこ取り。Poco F1は、Qualcomm最強のSnapdragon 845チップを搭載するうえ筐体内部には液体冷却ユニットを搭載し、6GBまたは8GBの大容量RAMと高速なUFS 2.1ストレージを搭載。キャッチコピー「Master of Speed」(スピードの王者)の如く、Mi8やMi MIX 3同等の高いスペックを誇ります。
それでいて、価格は20,999インドルピー = 約3.2万円~と比較的リーズナブル。Snapdragon 820・821積んでいながら2万円前後という破格を実現したLeEco(楽視グループ)のLe Proシリーズなんて、半ば伝説になりかけているスマホもありますが、まるでそれを彷彿させるような機種です。
パッケージと付属品
Xiaomiスマホといえば某林檎メーカーみたいな真っ白なパッケージが多いですが、Pocophoneは黒と黄を主体としたデザインで新鮮です。今回入手したのはグローバル版(POCOではなくPOCOPHONEのほう)で、隅っこには「Global Version」と赤いシールが付いていました。
黄色の主張が激しい!どこかで見たことあるなぁと思ったら、アレですよ、CoCo壱番屋ですよ。
同梱物を並べてみました。充電器やUSB-Cケーブルのほか、ソフトケースやSIMトレイの排出ピン、簡単な説明書が入っていました。
USB充電器はEUプラグなので、日本で使うためには変換アダプタを噛ませる必要がありますが、サードパーティ製でもQuickCharge 3.0対応であれば問題なく急速充電できます。
サラサラ背面へソフトケースを付けると、手に程よくフィットして滑りにくくなります。オマケのわりに作りは上々で、変な滲みや歪みはありませんでした。
端子やボタン周りの処理も完璧。
ボディの高級感はまるで無いが、指紋が目立たないのは嬉しい
本体前面には対角6.18インチの液晶ディスプレイが備わっており、上部にはもはやスタンダードになりつつあるM字型のノッチ(切り欠け)があります。特筆すべき点のない見慣れたデザインですね。
自撮りのためのフロントカメラ、3D顔認識を実現している赤外線センサー、受話口、近接センサーなど、前面のパーツはすべてノッチ内へ収められています。ベゼルは決して細くはありません。
Androidでお馴染みの3ボタン(戻る・ホーム・タスク)は、画面内に表示されるオンスクリーンタイプです。
Poco F1とXiaomiのスタンダードモデル「Mi8」を並べてみました↓ ぱっと見た感じは大差ありませんが、Mi8のほうがベゼルが狭くてスタイリッシュに仕上がっています。
ひっくり返して背面へ。下の写真を見るとメタルボディのような風合いを感じますが、実はポリカーボネート(樹脂)製のユニボディで、価格相応の安っぽさを隠しきれていない印象を受けました。Mi8のガラスボディやMi MIXのセラミックボディには遠く及びませんし、Mi Max 3やMiA2のメタルボディよりもチープな質感で、「Redmiにスナドラ845載っけた」みたいなイメージ。
指紋が目立たないのは有り難いポイント。ツルテカなプラスチックボディ、安いくせに背伸びしてたガラスボディよりかは断然好きになれます。
デュアルカメラの下には指紋認証センサーが付いています。その直上にカメラレンズがあるため、誤って触れてしまうこともしばしばですが、通常使うメインカメラはサブカメラの上に付いているので大きな支障はありません。
背面下部には銀色に光り輝くPOCOPHONEロゴ。
充電端子は両面リバーシブルなUSB Type-Cなので、Micro USBみたく表裏を確認せずとも挿し込めます。左右のグリル穴はスピーカーとマイク。
画面側からみて右側面には電源ボタンと音量調節ボタンがあります。Xiaomiスマホはすべてこの配置だったはず。
そして本体上部には3.5mmイヤホンジャックがあります。Snapdragon 845積んでいてイヤホンジャックが付いているXiaomiスマホはPoco F1ただひとつ。
SIMカードスロットはデュアルスロットで片方はMicro SDとNano-SIMの排他仕様、つまりNano-SIM + Nano-SIMのデュアルSIMかNano-SIM+Micro SDの組み合わせで運用できます。
300ドルなのにスナドラ845 + UFS2.1ストレージ
Poco F1最大の魅力といえば、300ドルというお手頃価格でありながらハイスペックなSnapdragon 845チップを搭載していること。さ現時点で手に入るSDM845搭載機としてはおそらく最安ではないでしょうか。驚異的なコストパフォーマンスです。そうそう、データを保管するストレージ(ROM)としては「UFS2.1」というスマホ最速の規格を採用していて、これもまた上位機種譲り。
ベンチマーク上ではiPhone XSのA12 BionicチップやHuaweiのKirin 980チップに一歩劣るものの、SDM845のパワーがあれば大半のゲームはストレス無く動いてくれるので、実用上不満を感じる場面は極めて稀です。
各種ベンチマークスコア↓ 左から順に、総合ベンチ「Antutu Benchmark v7」、CPUの処理能力を測る「Geekbench 4」、ストレージの転送速度を測る「AndroBench」です。
Antutu Benchmark v7比較グラフ↓
- CPUスコア
- GPUスコア
- UXスコア
- MEMスコア
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Apple iPhone XS MaxApple A12 Bionic356332
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Xiaomi Black SharkSnapdragon 845290000
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Xiaomi Mi8Snapdragon 845270179
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Xiaomi Pocophone F1Snapdragon 845266064
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Samsung Galaxy Note9Samsung Exynos 9810240622
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Xiaomi Mi6Snapdragon 835209386
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Huawei P20 ProHiSilicon Kirin 970206033
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Xiaomi MiA2 (Mi6X)Snapdragon 660130558
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Xiaomi Mi Max 3Snapdragon 636119185
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Xiaomi Redmi 5 PlusSnapdragon 62576427
Geekbench 4比較グラフ↓
- マルチコアスコア
- シングルコアスコア
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Apple iPhone XS MaxApple A12 Bionic11316 4815
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Apple iPhone XApple A11 Bionic10167 4193
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Xiaomi Pocophone F1Snapdragon 8459051 2371
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Xiaomi Mi8Snapdragon 8459009 2401
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Samsung Galaxy Note9Samsung Exynos 98108814 3657
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Xiaomi Black SharkSnapdragon 8457203 2430
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Huawei P20 ProHiSilicon Kirin 9706781 1891
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Xiaomi Mi6Snapdragon 8356619 1925
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Huawei Mate 9HiSilicon Kirin 9606258 1928
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Elephone U ProSnapdragon 6605831 1630
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Xiaomi Mi Max 3Snapdragon 6364870 1322
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Xiaomi Redmi 5 PlusSnapdragon 6254282 867
ゲーミングスマホさながらの液冷システム
SoCから発せられる熱を効率よく逃がすための工夫として、本体内部には「LiquidCool Technology」という液状冷却システムが組み込まれて、長時間のゲームプレイングも安定してこなせます。一見ただの格安スマホですが、中身はゲーミングスマホみたいなもんです。
実際にどれほどの効果があるのか。SDM845仲間である「Xiaomi Mi8」と液冷搭載ゲーミングスマホ「Black Shark」を用意して、ヘビーゲームとして知られる「PUBG Mobile」を20分間プレイ。「CPU Monitor」というアプリを用いてCPU温度とバッテリー温度を1分おきに記録してみました。その結果がこちら↓
バッテリーの温度はBlack Sharkのほうが若干低いですが、CPU温度は同等かそれ以下に保たれており、Mi8よりも4~5℃低く推移しています。
PUBG Mobileの標準設定は「HD画質」で、最高設定はHDR画質 + ウルトラfps + アンチエイリアスオンの組み合わせ。

Xiaomi Poco F1 6GB RAM + 64GB ROM
電池持ちも急速充電も良好
さすが4,000mAhのバッテリー積んでいるだけあり、特に気にせず使い込んでも丸一日は優に持ちます。Webページの閲覧や写真編集など日常的な作業を自動で繰り返して、バッテリー残量が100%から20%へ減るまでの時間を測るベンチマーク「PCMark Work 2.0 Battery life」で調べたところ、10時間42分というなかなかの好結果に。Xiaomi Mi8やMi MIX 2S、OnePlus 6よりも長持ちです。
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Xiaomi Mi Max 2Snapdragon 625 / 5300mAh18:20
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Xiaomi Mi Max 3Snapdragon 636 / 5500mAh15:08
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Xiaomi Redmi 5 PlusSnapdragon 625 / 4000mAh12:16
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Huawei Honor Note 10HiSilicon Kirin 970 / 5000mAh10:59
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vivo NEX SSnapdragon 845 / 4000mAh10:48
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Xiaomi Pocophone F1Snapdragon 845 / 4000mAh10:42
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Xiaomi Mi8Snapdragon 845 / 3400mAh10:12
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Huawei P20 ProHiSilicon Kirin 970 / 4000mAh10:00
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Xiaomi Mi MIX 2SSnapdragon 845 / 3400mAh9:48
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Huawei Honor 10HiSilicon Kirin 970 / 3400mAh8:50
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OnePlus 6Snapdragon 845 / 3300mAh8:45
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OPPO Find XSnapdragon 845 / 3730mAh7:39
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Huawei nova lite 2HiSilicon Kirin 659 / 3000mAh6:50
急速充電も見逃せません。Poco F1はQualcommの充電テクノロジー「QuickCharge 3.0」に対応しているほか、USB-PD(Power Delivery)という急速充電もサポート。いずれも1時間半ほどでフル充電できます。
カメラは可もなく不可もなく
処理性能へ全フリすることでコストカットを果たしている機種なので、カメラに関しては可もなく不可もなくといった感じ。
背面デュアルカメラのメイン側には、Mi8やMi MIX 3と同じソニー製IMX363イメージセンサーが採用されており、1.4μmというラージピクセルと全画素が位相差AFとして機能する「デュアルピクセルAF」が強みです。しかしながら、上位機種にある光学式手ぶれ補正は省かれており、レンズもf/1.9とやや暗めなので、暗所や夜景はノイジーでブレやすくなります。また、サブカメラは望遠レンズではないため、ズーム撮影も弱点の一つ。
カメラアプリに関しては上位機種と遜色ないレベルで、AIによるシーン分析に対応しているほか、ポートレードモード(背景ぼかしモード)で撮った写真は撮影後でもぼかし具合やフォーカス位置を微調節できます。Huaweiほどではないにしろ、UIも機能も丁寧に作り込まれていて好感を持てました。
では手持ち撮影で撮った作例をいくつか。読み込み時間短縮のため圧縮した写真を掲載していますので、細部までチェックしたい方は各画像をクリックしてオリジナルデータをご覧ください。(※一枚あたり数MBあるのでデータ量にご注意を)



ここから先はポートレートモードで撮影↓



Poco F1(左)とMi8(右)で2倍ズームの比較↓ 一見違い無いように思えますが…
拡大してみるとMi8のほうがくっきり鮮明。
続いて夜景を比較↓ (左:Poco F1、右Mi8)
Mi8は窓のサッシや内装までしっかり写っていますが、Poco F1は白飛びとボケが目立ちます。
ちなみに、動画は最大4Kの30fps撮影に対応していて、スローモーションは最大1080pの240fps撮影が可能。

Xiaomi Poco F1 6GB RAM + 64GB ROM
MIUI + Poco Launcher
OSとしては本家Xiaomiと同じくAndroidベースのカスタムROM「MIUI」ですが、それをさらにPOCO向けにリメイクした「MIUI for POCO」なるものがプリインされています。グローバル展開を前提に作られているため、PlayストアはじめとするGoogleサービスはもちろん、有り難いことに日本語ロケールも入っていました。ん?と不自然な翻訳もところどころ目につきますが、実用上は特に支障ありません。
面白いのはホームランチャー。ホームとアプリ一覧が別居しているドロワー表示が標準装備されていて、コミュニケーション・エンターテイメント・ツール…とカテゴリ別にアプリを探したり、赤・黄色・緑…とアイコンの色別に絞り込むこともできます。






3D顔認証もあるが、地域設定が日本だと使えない
赤外線の3Dスキャニングによる顔認証も付いているので、ぜひとも利用したいところですが、地域設定を日本に設定すると設定画面から「顔データを追加する」が消えてしまうという問題点が。Mi8やMi Note 3のグローバル版でも同じ現象が確認されていますが、唯一の解決策は地域設定を香港や台湾やインド等に変えるというもの。
筆者の場合、香港へ変えてみたところ問題なく設定できたので、顔認証出ない!とお困りの方は試してみてください。日付・時刻の設定にある「タイムゾーンの自動設定」をオンにすれば、地域関係なく日本時間が反映されるはずですが、それでもズレる場合はタイムゾーンを日本標準時(GMT+9)へセットすればOK。
肝心の認証速度はMi8と比べても全く遜色ないレベルで、寝起きでも暗闇でも確実かつスピーディーに読み取ってくれます。iPhone Xみたいなスワイプは不要で、電源ボタンワンプッシュ→画面ちら見するだけで解除されます。めちゃくちゃスムーズです。
主なスペックと対応周波数帯
Xiaomi Poco F1の主なスペックは下の表のとおり↓
OS | Android 8.1 / MIUI for POCO |
---|---|
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon 845 10nm LPP FinFETプロセス CPU:Kryo 385 4x 2.8GHz + 4x 1.8GHz オクタコア GPU:Adreno 630 |
ストレージ | 64GB、128GB、256GB UFS2.1 |
メモリ | 6GB、8GB LPDDRX デュアルチャンネル |
ディスプレイ | 対角6.18インチIPS液晶ディスプレイ 2.246 x 1,080ピクセル アスペクト比18.7:9 ピクセル密度403ppi |
内側カメラ | 2,000万画素 |
外側カメラ | メインカメラ:1,200万画素 f/1.9 サブカメラ:500万画素 f/2.0 |
バッテリー容量 | 4,000 mAh QuickCharge 3.0対応 |
拡張 | USB Type-C x1、3.5mmオーディオジャック x1 |
SDカード | 対応 |
センサー | GPS、加速度、ジャイロ、環境光、近接、電子コンパス、指紋認証センサー |
SIMカード | Nano-SIM x2 |
幅 x 厚さ x 高さ | Standard Edition:75.5 x 8.8 x 155.5mm、Armoured Editon:75.5 x 8.9 x 155.7mm |
本体重量 | Standard Edition:182g、Armoured Editon:187g |
防水・防塵性 | 無し |
カラー | ブラック、ブルー、レッド、Armoured Edition(カーボン調) |
対応周波数帯は以下のとおり↓
- GSM:850MHz, 900MHz, 1800MHz, 1900MHz
- WCDMA:B1, B2, B5, B8
- FDD-LTE:B1, B3, B5, B7, B8, B20
- TDD-LTE:B38, B40, B41
相性が良いのはソフトバンク回線で、LTEはB1とB3とB8に対応しています。ドコモでも使えないわけではありませんが、プラチナバンドのB19に対応していないため、山間部や建物の影で繋がりにくくなる可能性が高いです。auはB18およびB26に対応していないとキツイので諦めましょう。
なお、Poco F1とPocophone F1はいずれも技適を通過していませんので、当然ながら技適マークも付いていません。購入および国内での使用は100%自己責任のもとお願いしますね。
総評と販売情報
筐体がややチープだったりカメラが平凡だったり、残念なところが無いといえば嘘になりますが、それを全て打ち消してくれるのが3万円台という安さ。Snapdragon 845チップと液冷のコンボ、長持ちするバッテリー、イヤホンジャック&Micro SDカード対応などなど実用面に関してはほぼパーフェクトで、決定的な欠点を見つけられないというのが正直なところです。コスパ重視で中華スマホを選ぶなら、真っ先に検討すべきはこのPocophoneでしょう。
現在はGearBest.comやBanggood.comといった中華ガジェット専門のECサイトにて販売されており、価格は300ドル台。日本円にすると3~4万円で手に入ります。MiシリーズやRedmiシリーズみたく中国版とグローバル版を見分ける必要がないため、はじめての中華スマホとしても良さげ。

Xiaomi Poco F1 6GB RAM + 64GB ROM
poco版のMIUIですが、本家MIUIにあるセカンドスペースとDualAppは有効でしょうか?
ご教示下しさいませ
セカンドスペースもデュアルアプリも、共に問題なく使えましたよ!本家MIUIと全く同じ挙動でした。
ありがとうございます。
仕事用+私用のデュアルで運用中のmi5で
バッテリーが弱り後継機を物色中です。
ある程度のパワーがありROM容量も欲しいのですが、
RedmiS2は今更SD625に戻るのとバッテリー容量が少なく断念
R6proは、同様にコスパ今一
RN6proでは64GB上限でデュアル+TFカードが刺さらず残念でした。
poco128GB版ならバッテリー・容量共十分ですし
このままデュアル運用できそうですし
コスパは最強ですよね
ただのコスパ重視スマホかと思って無視してたら、色んなサイトで高評価の嵐。乗り遅れちゃったかなーって気分だったんですけど、これだけ高評価なら買うべきだなって思ってポチりました。まさかの春節とかぶって全然発送されない……。