指紋認証付きの2in1 Teclast F6 Proレビュー:Xiaomiよりお買い得!?
- 2018-01-25
- 2018-03-25
中華パソコンといえば、低スペックなAtomやCeleronを載せた代わりに価格をうんと抑えたものを思い浮かべますが、今回ご紹介する「Teclast F6 Pro」は一味違います。
お値段は5万円台と、決して「激安」とは言えないものの、Intel第7世代のCore-Mを搭載することで12インチMacBook(約15万円)に迫る処理スピードを実現しています。しかも、液晶面をクルッとひっくり返せばタブレットとしても活用できるほか、指紋認証センサーまでもを内蔵するなど、お値段以上の充実感が魅力です。
筐体の様子や実際の操作感、ベンチマークを交えた性能検証、バッテリー駆動時間などなど…数日間に渡ってじっくり試しましたので、ぜひ最後までお楽しみ下さい。
今回レビュー用として「Teclast F6 Pro」の実機をGearBest様より提供頂いたため、タイアップ記事となっています。ステルスマーケティングではありませんし、中立で率直なレビューを致します。
目次
パッケージと付属品
パッケージはホワイト+オレンジのなかなかお洒落なデザイン。
梱包状態も文句なし。
付属品は、ケーブル一体型の充電器と簡素な説明書、注意書きなど。
同梱の充電器は欧州仕様(タイプC)のプラグなので、残念ながら日本のコンセント(タイプA)には挿さりません。
でも大丈夫。Teclast F6 ProはUSB-PDに対応しているので、「Anker PowerPort+ 5」等の高出力なPD対応USB Type-C充電器と、両端USB-Cのケーブルがあれば、問題なく充電できます。(充電に関しては、後ほど詳しくご紹介します)
キーボードや液晶面もきっちりガードされていました。
安っぽさの感じられないアルミボディ
Teclastのデバイスは、去年レビューしたタブレット「Teclast P10」に引き続いて2台目になります。P10は1万円台のタブレットでしたが、安っぽさを感じさせない良質なアルミボディに驚き、中華ガジェットの進歩をまじまじと体感。
今回手にしたF6 Proも、外装が全てアルミ合金で作られていますが、全体的な質感の良さや細部に至るまで抜かりない工作技術にはつくづく関心しました。たくさんの写真と共にチェックしていきましょう。
ロゴ一つないシンプルな天板
中国語表記のロゴもまた中華モノらしくて嫌いではありませんが、やはり好みは分かれるところですよね。Teclast F6 Proの天面は全く飾り気がなく、メーカーのロゴすらないので、「これ、国産パソコンだよ?」と言われたら信じてしまいそう。面白みが無いといったらそれまでですが、万人受けはしそうなデザインです。
あまりにもあっさりし過ぎているので、ステッカー貼って自分好みにアレンジ、なんて楽しみ方もありですね。
ディスプレイ面
上蓋を開けると、対角13.3インチのディスプレイがお目見え。アルミのパームレスト+黒色のキーボードという、ベーシックな作りとなっています。
ディスプレイ面上部には、200万画素のWebカメラがあります。
360度開閉が可能なヒンジ
この機種の最大の売りは、360度開閉が可能なヒンジ。パソコンとしてもタブレットとしても使える「2in1」と呼ばれるタイプで、液晶面は360度開閉が可能で、シーンに合わせて変形できます。
180度開いた様子↓
360度開いた様子↓ 中華パソコンとしては初めて手にするコンバーチブルタイプ(非分離型)なので、耐久性や安定性は惧れていましたが、現物を見る限り心配無さそうです。
裏面
続いて裏面。
滑り止めのゴム足やネジが露骨に見えているので、チープな印象は受けます。右下の四角いカバーは、SSDを装着するM.2スロットへアクセスするためのもので、一般的なプラスドライバーで簡単に取り外せます。
側面の端子・ボタン
ディスプレイから見て左側面には、PD対応のUSB Type-C、Micro HDMI、フルサイズUSB 3.0がそれぞれ1ポートずつあり、充電状態を示すインジケータランプも備わっています。
反対の右側面には、電源ボタン、Micro SDカードスロット、フルサイズUSB 3.0、3.5mmオーディオジャック、そして付属の充電器を挿し込む電源端子があります。
本体重量は1.4kg近い。許容範囲だが、最近のノートにしては重め
手持ちのはかりに乗せてみたところ、本体の総重量は1.388kgありました。
MacBook AirやProの13インチと同じくらいなので、持ち運びの許容範囲ではあるものの、最近の薄型ノートパソコンに比べると重たいですね。
パソコンとしてもタブレットとしても快適に使える
液晶面をひっくり返すと、物理キーが自動的に遮断される
液晶面を360度ひっくり返してタブレットスタイルへ変身させると、キーボードからの入力信号が自動的に遮断される仕組みなので、背面へまわった物理キーを気にすること無く本体を持てます。まあ当然といえば当然ですが、しっかり考えられているんですね。
ThinkPad X1 Yogaのようにキーが昇降すれば尚良しですが、流石にこのお値段なので文句を言うつもりはありません。
タブレットとして使っている間は、ソフトウェアキーボードが画面内に表示されます。
タッチ操作・ペン操作対応のフルHDディスプレイ
液晶ディスプレイは、ノートパソコンとして最も一般的な対角13.3インチで、大きすぎず小さすぎない程よいサイズ。解像度は横1,920 x 縦1,080ピクセルのフルHD解像度で、これはMacBook Air 13よりも一回り広く、表示サイズを100%に設定すればデスクトップパソコン並の作業スペースを確保できます。
拡大縮小などのマルチタッチ操作も可能なので、Windows 10に備わっている「タブレットモード」の操作性を惜しみなく体感出来ます。
通常のデスクトップモード↓
変形時のタブレットモード↓
さらには、専用のスタイラスペン「T6 Active Stylus Pen」にも対応。…していますが、今回はF6 Pro本体のみをご提供頂いたため、残念ながらペンのレビューは見送り…。GearBestの販売ページを見たところ、1024段階の筆圧検知に対応しており、乾電池一個で最大180日使えるとのこと。

Teclast TL - T6 Active Stylus Pen
予めハーフグレアのフィルムが貼られており、指の滑りが良い
ディスプレイ表面には、指が滑りやすいフィルムが貼られているので、ガラス特有のツッパリ感はありません。
ただ、筆者の大好物であるアンチグレア仕上げではなく、グレアとアンチの中間「ハーフグレア」といったところでしょうか。周囲光はそこそこ反射するので、明るい屋外では使いづらいです。
入力系統
キーボードは少しチープだが、心地よい打鍵感
キーボードは今の中華ラップトップによくあるプラスチック製で、黒いキートップに白色印字が書かれたシールが貼られています。相当使い込まないと剥げないはずですが、耐久性や見た目はMi Notebook Airの方が良さげですね。
キーストローク(沈み込み)が1mmほどあるため、確かな打鍵感を得られ、打ち心地に関しては不満ありません。キーピッチ(キー中心から隣キーの中心までの間隔)は、先日購入したMi Notebook Pro(15インチ)とほぼ同じ19mm確保されており、安定したフォームで入力し続けられます。
実は、この記事の一部もF6 Proで書いているので、ブログ更新マシンとして大いに活躍しそうな予感。
トラックパッドはマルチタッチ操作対応!カーソルの動きや精度も極めて良好
キーボードの下に取り付けられているトラックパッドは、決して広くはありません。しかし、カーソルの動きは正確かつスムーズで、2~4本指によるマルチタッチも可能なため、操作は快適そのもの。
Windows 10より実装されたマルチタッチ操作を全て試してみましたが、どれも正常に動きました。
実際に操作している様子を動画に収めました↓
- 2本指によるスクロール
- 2本指による拡大縮小
- 3本指左右スライドによるアプリ切り替え
- 4本指左右スライドによる仮想デスクトップ切り替え
中華ノートってトラックパッドにハズレが多い印象ですが、それはもう過去の話ですね。
精度が良すぎる指紋認証センサー
トラックパッド左上には、正方形の指紋認証センサーがあります。Windows 10のセキュリティ機能「Windows Hello」の指紋認証と連携し、パスコードを入力することなくログイン出来るので、慣れてしまうと従来のパソコンには戻りたくなくなります。
F6 Proは価格が価格ということで、過度な期待していませんでした。がしかし、誤認証を滅多に起こさない精度の高さ、そして「本当に認識しているの!?」と疑いたくなるような速さに度肝を抜かれました。
論より証拠という訳で、下の動画をどうぞ↓
日常使いにおいては何ら不便を感じないパフォーマンス
CPUはIntel Core m3-7Y30を搭載
多くの低価格中華パソコンがCeleronやAtomを搭載する中、Teclast F6 ProはIntel第7世代のCore m3-7Y30を搭載しており、冷却ファンを持たないファンレス機としてはそこそこ優秀。12インチMacBookやHuawei Matebook Eの最安モデルと同じくらいの性能です。
3DバリバリのFPSゲームや、Premiere ProやAfterEffectsによる動画制作はキツイですが、Photoshopによる簡単な写真編集であれば難なくこなせるので、持ち歩き用のサブノートとしては十分なパワーを発揮してくれます。
余裕ある8GBの実行用メモリ
実行用メモリとしては8GBを内蔵しています。4GBや6GBでもそれなりに動いてくれますが、メモリは多いに超したことはありません。
かといって、低スペックCPUに大容量メモリは宝の持ち腐れなので、Core Mには8GB程度がちょうどよいかと。
高速な128GB SSD
内蔵ストレージ容量は128GBで、中華パソコンによくあるeMMCではなく、SATA接続のSSDが用いられています。デバイスマネージャーを開いてみたところ、Teclast独自開発の「NS550-2242」というType2242 M.2 SSDを確認しました。
CrystalDiskMarkで転送速度を図ってみた結果がこちら↓
Geekbench 4
CPUの処理能力を測るGeekbench 4のスコアを見てみましょう。
1コアあたりの能力を示すシングルコアスコアは2,658点、総合力を示すマルチコアスコアは5,336点を記録。一世代前にあたるm3-6Y30と比べると、両スコア共に2割ほど伸びています。
Cinebench R15
続いてCinebench R15。OpenGLが35.42fps、CPUは241cbとなりました。
ドラゴンクエストX ベンチマーク
最後に、ドラゴンクエストXのベンチマークをチェック。HD 低画質が7,209点(とても快適)、HD 標準画質が5,675点(快適)、FHD 標準画質が3,638(快適)、最も高負荷なFHD 最高画質は2,979点(やや重い)という結果になりました。
バッテリーや充電について
持続時間
Windows 10の標準ブラウザ「Microsoft Edge」上でYouTubeのフルHD動画を再生し続け、その過程をログとして残すという方法で、Teclast F6 Proのバッテリー持続時間を調査。残量100%から0%に至るまで掛かった時間は8時間半で、Mi Notebook Air 12とほぼ同じ結果になりました。
別段長持ちする訳ではないものの、たまに使うサブ機としては十分かなと。
モバイルバッテリーから充電できる
ただ、一日がっつり使い込むとなると、外部電源無しでは心もとないです。かといって、ACアダプターと変換器を持ち歩くのはスマートではありませんし、外出先で必ずしもコンセントにありつける保証はありませんよね。
そこで大活躍するのが、USB-PD対応のモバイルバッテリー。Teclast F6 Proの左側面にあるUSB-C端子は、USB Power Delivery略して「USB-PD」に対応しているので、一部の高出力バッテリーによる充電が可能です。
「dodocool DP13」と「RAVPower RP-PB058」で実際に試したところ、いずれも30W弱で充電できました。

dodocool DP13 20100mAhモバイルバッテリー 45W PD対応

RAVPower RP-PB058 26800mAhモバイルバッテリー 30W PD対応
充電時間
付属のAC充電器で充電した場合、残量一桁から100%に至るまで約2時間。USB-PD対応充電器で充電した場合は、約2時間半掛かりました。
急速充電に対応していないスマホと同じくらいでしょうか。
気になるポイント・注意点
ヒンジが硬いので、片手で開くのは難しい
ヒンジ部分はかなり頑丈そうで、液晶面が殆どガタつかないから頼もしい!のは良いのですが…いかんせん硬めなので、MacBookみたく片手だけで開閉するのは難しいです。
強度は十二分に確保されている感じなので、もうちょい緩めでも問題ないのでは?と。
フルサイズのHDMIやSDカードスロットが無い
HDMIやSDカードスロットは、いずれも“Micro”なので、フルサイズの端子を挿す場合は変換アダプタorケーブルが必要になります。
Mi Notebook AirにはフルサイズHDMIが、Proはそれに加えてフルサイズSDが備わっているので、もう一歩踏み込んで貰えれば嬉しかったですね。
Mi Notebook AirみたくSSDの増設が出来ない(換装は可)
冒頭にて「背面のカバーを外すことでM.2スロットへアクセスできる」と書きましたが、そこには既に128GBのSSDが挿し込まれています。
更に大容量なSSDへ“換装”することは可能ですが、Mi Notebookのように2台目を“増設”することは出来ません。
なお、挿し込めるのは横42mm x 縦22mmの「Type 2242」に限られます。

Transcend SSD M.2 2242 SATA III 6Gb/s
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キーボードがUS配列
中華ノートパソコン全般に言えることですが、キーボードは「US配列」と呼ばれるものが採用されています。アルファベットの配置は、国内パソコンのJIS配列と変わりありませんが、記号(括弧やアンダーバーなど)の配置が異なっており、「変換」や「英数」などの一部キーが省かれています。Enterキーの形も違いますね。
筆者はかつてJIS使いでしたが、数年前にUS配列へ乗り換えました。今でこそ慣れ親しんだUSキーですが、初めの一ヶ月ほどは、配列や英数↔日本語の切替方法に戸惑ったものです。
Xiaomi Mi Notebook Air 12と比較
最後に、同価格帯の中華ノート「Xiaomi Mi Notebook Air 12」の最新モデルと比較してみましょう。
Teclast F6 Pro | Mi Notebook Air 12 | |
---|---|---|
CPU | Core m3-7Y30 | Core m3-7Y30 |
標準SSD | 128GB SATA SSD M.2 Type2242 |
128GB SATA M.2 SSD M.2 Type2280 |
SSDの増設 | 不可(1台のみ) | 2台搭載可 |
メモリ | 8GB | 4GB |
画面 | 13.3型フルHD タッチ対応 | 12.5型フルHD タッチ非対応 |
重量 | 1.388kg | 1.07kg |
指紋認証 | あり | 無し |
ペン | 対応 | 非対応 |
日本語 | 対応 | 非対応 (OSの再インストールが必要) |
実勢価格 | 400ドル後半〜500ドル前半 | 500ドル台 |
機動性に関しては一回り小柄で軽量なAir 12に軍配が上がりますが、F6 Proはタッチ・ペン操作や指紋認証、そして8GBの余裕あるメモリで対抗しています。記事執筆現在の実勢価格は、F6 Proの方が若干割安なので、こちらの方がお買い得感ありますね。
総評:完璧ではないけれど、お値段以上であることは明らか
最近の薄型ノートパソコンに比べると重たい、上蓋の開閉がスムーズに出来ないなど、至らぬ点があることは確かです。しかし、5万円台というお値段以上の出来栄えと性能を持ち併せており、国産パソコンには決して真似出来ないコストパフォーマンスの良さは大変魅力的です。
Mi Notebook Air 12にはない360度ヒンジや指紋認証センサーを備えつつ、より割安な価格で手に入れられ、尚且つ日本語環境で使い始められます。「AtomやCeleron搭載の激安機じゃ物足りないけど、MacBookのような高価なマシンは気が引ける…」という方にとっては、正にベストチョイスといえる一台ではないでしょうか。
最新の価格および販売状況は、下のリンクより製品ページをご覧下さい↓
おまけ:GearBestでお買い物する方法
「海外ガジェットは面白そうだけど、個人輸入には不安を感じる...」と、いまいち踏み出せない方へ。GearBestの使い方や決済方法について下の記事にまとめていますので、参考にして頂ければ幸いです↓
GearBestの解説記事↓
オンライン決済サービスPayPalの解説記事↓
記事いくつか見せてもらいましたが
見やすくて分かりやすくて面白かったです。
コメントしたくなるくらい心にグイグイくるものがありました。
リクエスト(もしネタに尽きたら取り扱って欲しいテーマ)として
中華PCや中華タブレットのリスクについても
扱って欲しかったりします。
理由なのですが、私自身中華タブレットを使ったことがあって
いい面もあったけど、困った点もあって
万人に勧められるものでもないよなぁ
という認識があるためです。
■メリット
・抜群のコスパ
・問題解決能力が鍛えられる(良い教材)
■デメリット
・情報が少ない
・ドライバの更新が期待できない
・故障時のサポートが面倒
・下取りが期待できない
etc
ただ中華PCやタブに挑戦する人は
そもそもPC初心者ではなく
リスクを承知している人も多いので
以上のリクエストは私自身蛇足かも、
と思ったりもしています。
とにかくリクエストはメインではなく
主旨としては良いブログでした
面白かったです。ありがとうございました。
ということです。
他の記事もお読み下さったのですね!ありがとうございます。
>中華PCや中華タブレットのリスクについても扱って欲しかったりします。
的確なご指摘、感謝します。
仰る通り、中華ガジェットのリスクやデメリットに関しては、これまであまり触れてきませんでした。今後のレビュー記事において積極的にご紹介できればと思います。