
SATA、mSATA、M.2… SSDの種類が沢山あるので違いをまとめた
- 2016-08-16
- 2018-06-09
最近のOSディスクの主流といえば、やっぱりSSDですよね。大容量のストレージとしてはHDDが適していると言われていますが、今後SSDの低価格化が進めば、いずれ記憶機器は全てSSDに置き換わってしまうのでしょうか…?
HDDといえば、SATA(シリアルATA)という規格が最も一般的ですが、SSDにはメジャーな規格が主に3つありまして、SATA、mSATA、M.2です。それぞれ特徴や長所短所がありますので、分かりやすく説明します。
SATA(シリアルATA)規格の2.5インチSSDについて
SATAとは
ハードディスクや光学ディスクドライブに多く採用されている「SATA(シリアルATA)」は、現在のインターフェース規格の主流になっていて、自作パソコンを組む方にとっては非常に馴染み深いはず。
シリアルATA(SATA、Serial ATA、シリアルエーティーエー、エスアタ、サタ、セイタ)とは、コンピュータにハードディスク、SSDや光学ドライブを接続する為のインタフェース規格である。2010年時点において、SCSIやパラレルATAに代わって主流となっている記録ドライブの接続インタフェース規格である。
SATAはこれまで、SATA1.0→SATA2.0→SATA3.0と進化を遂げ、バージョンアップの度に最大転送速度が倍に向上してきました。
- SATA1.0:1.5Gb/s
- SATA2.0:3.0Gb/s
- SATA3.0:6.0Gb/s
近頃のストレージはことごとく最新のSATA3.0に対応しており、SSD本来の高速な転送速度を活かせるように改良されています。
デスクトップパソコンにも、従来のノートパソコンにも搭載可能
SATA規格のSSDは2.5インチHDDと同じサイズで、デスクトップパソコンに加え、従来のノートパソコンにも搭載出来る場合があります。そのため、少し古くなったHDD内蔵のノートパソコンをSSDに換装して、動作をキビキビさせることで現役復活させる方も居るようですね。
残念ながら、最近のモバイルノートやUltrabookなど、2.5インチドライブを廃止している機種には搭載できません。
2.5インチSSDは容量あたりの価格が安い
mSATAやM.2タイプのSSDよりも生産数が多いためか、2.5インチのSATA SSDは比較的低価格で購入できます。特に、ここ数年の値下がり幅は大きく、製品によっては発売当初の半値近くまで安くなった物もあります。
下のグラフは、SATA規格の容量500GB SSD「Samsung SSD 500GB 850 EVO」の価格推移を表したグラフです。価格.comさんよりお借りしました。
カードタイプのSSDよりも放熱性が高い
これは製品にもよりけりですが、mSATAやM.2などのカード型SSDよりも、2.5インチSSDの方が放熱性に長けている傾向があります。内部のスペースに余裕があるためなのでしょうか。
HDDもSSDも熱には弱いので、デスクトップパソコンに搭載するならば、2.5インチのSATA SSDの方が良いという意見も聞かれますね。
PCIe(M.2)よりも転送速度は劣る
長年に渡ってストレージ接続規格の主流であり続けてきたSATAですが、徐々に過去の産物となりつつあります。
というのも、SATAの転送速度がネックとなりSSD本来の速度を発揮しきれなくなったため、それを改善すべく新規格「PCIe」への置き換えが着実に進んでいます。
最新のPCIe(M.2)規格と比較すると、SSDの転送速度は見劣りしてしまいます。とはいえ、HDDと比べると桁違いに速いので、違いを体感で実感するのは幾つもの高解像度の動画データを転送する時や、OSの起動時くらいでしょう。
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mSATA規格のSSDについて
mSATAとは
「mSATA(Mini Serial ATA)」はその名のとおりSATA規格に分類されますが、通常のSATAよりも小型で、ノートパソコンやUltrabookなどに採用される事が多いです。カードの様な形状をしており、基盤に設置されたmSATA専用端子に差し込んで装着します。
引用:MSATA SSD vs. 2.5″ SATA drive – Serial ATA – Wikipedia, the free encyclopedia
mSATAが開発されたのはSATA1.0登場の後になるため、1.5Gb/sに対応したmSATAは存在しません。
- SATA2.0:3.0Gb/s
- SATA3.0:6.0Gb/s
ノートパソコンの進化に大きく貢献したmSATA SSD
今でこそM.2の影に隠れてしまったmSATAですが、ノートパソコンの薄型化にひと役もふた役も買った重要な存在なのです。
SATAを小型化したmSATA規格のSSDを搭載することで、他のパーツを配置するためのスペースに余裕が生まれます。ミリメートル以下の精度で開発が行われているラップトップ分野において、mSATA SSDの登場は非常に画期的なことであり、薄型化・軽量化やバッテリー面積の拡大など、多くの恩恵をもたらしました。
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M.2規格のSSDについて
M.2とは
「M.2(NGFF)」は、先ほど紹介したmSATAの後継規格にあたります。PCIeとの互換性を持たせることにより、SATAよりも大幅な転送速度の向上に成功しています。
おまけに更なる小型化にも成功していることから、これからのラップトップ向けSSDの主流になると思われます。
M.2 (旧称 Next Generation Form Factor, NGFF) は、コンピュータの内蔵拡張カードのフォームファクタと接続端子について定めた規格である。M.2はmSATA(英語版)の後継として開発された。機能性に優れカードの幅や長さについてもより柔軟性を持つことから、SSDやそれを組み込むウルトラブックやタブレットコンピュータなどの小さいデバイスに適した規格とされる。
M.2は本質的にはSATA Expressの小型版といえる。M.2の提供するバスインターフェイスは論理的にはSATA Expressの上位互換である。M.2はSATA Expressの持つPCI Express 3.0とSATA 3.0との互換性に加えて、USB 3.0との内部互換性を備える。M.2端子には一つ以上の切り欠きがあり、組み合わせで機器のタイプを示す。
SATAの限界を突破するために開発されたPCIe M.2
ネックとなっていたSATAの壁を突破し、SSD本来の爆速っぷりを惜しみなく活かすため、PCIe接続に対応したM.2 SSDが開発されました。
PCI Express 3.0 x4対応であれば転送レートは32Gb/sと、SATA3.0の限界である6Gb/sを遥かに凌駕しています。SATAのSSDでディスクスピードテストを行うと、読み書き500MB/s程が限界でしたが、PCIe対応M.2の読み込み速度は2,000MB/sを超える場合もあるようです。まさに異次元の領域!
【2017年1月22日追記】先日Lenovo ThinkPad X1 Carbonをレビューしまして、その時に実施したディスクスピードテスト結果のスクリーンショットを下に貼ります。やはりPCIe SSDを搭載しているだけあって、SATAとは比べ物ならないほどの数値を記録しました。読み込みは2,000MB/s超え、書き込みは1,200MB/s超えです。
更なる小型化に成功したM.2
「M.2」と一口に言っても、実はいくつかの形状が出回っていまして、よく見かけるのはType2242、2260、2280の3種類。4桁の数字の前2桁は幅を、後ろ2桁は長さを示しており、例えばType2280なら幅22mm x 長さ80mmになります。
最もコンパクトなType2242は、なんと、JRの切符よりも面積が小さいというのですから驚きです。
ラップトップだけでなく、タブレットでもM.2を採用している機種もありますので、ストレージに関してはパソコンとモバイルの境が無くなりつつありますね。
爆速だが熱もそれなりPCIe vs 速度控えめだが低発熱で省エネなSATA
製品によりけりですが、M.2は2.5インチタイプのSSDと比べると発熱が気になるとの報告が相次いでおり、SSD本体のみならず周囲のパーツに悪影響を及ぼすのでは?という懸念もあります。
M.2 SSDの規格がSATAか、それともPCIe(NVMe)か、それによって発熱の度合いは大きく異なります。PCIeタイプは速度向上とトレードオフするかたちで発熱が増しており、デスクトップPCへ組み込む場合は、冷却ファンでエアフローを確保してヒートシンクを取り付けるなど、徹底した冷却が必須となります。また、PCIeタイプはSATAタイプよりも消費電力が増しているため、ノートPCのバッテリーをより長持ちさせるべく、標準搭載のPCIe SSDをあえてSATAへ換装してしまうユーザーも居るのだとか。
SATAタイプであっても、筐体の小さなM.2 SSDそのもの放熱性の観点でいえば不利です。安定性重視のデスクトップパソコンを組むならば、2.5インチのSATA SSDがより好ましいと言えます。
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SATA、mSATA、M.2、3種類のSSD、それぞれの特徴
SATA、mSATA、M.2の特徴、相違点をまとめるとこんな感じになります。
SATA 2.5インチのSSD
- 小型SSDに比べ放熱性が高い
- 容量あたりの価格が安い
- デスクトップにも従来のノートパソコンにも対応していて、対応汎用性が高い
- カードタイプのSSDに比べて転送速度が低い
- ノートパソコンの薄型化には向いてない
mSATA SSD
- ノートパソコンの薄型化に貢献した
- mSATAに対応しているマザーボードが少ない
- 容量あたりの価格が割高
M.2 SSD
- ノートパソコンの薄型化に貢献した
- PCIe対応でSATAよりも転送速度が大幅に向上
- PCIe対応のものは従来のSSDよりも発熱が大きい
- 容量あたりの価格が割高
先日書いた「低価格化が進む内蔵SSD、規格・容量別のおすすめ製品」にて、SATA、mSATA、M.2のSSDのオススメ製品を容量別に紹介しています。
持ち運びに適した”ポータブルストレージ”も徐々にSSDに置き換わりつつあります。ポータブルSSDに関しては「速くて軽量なポータブルSSD、どれが良い?オススメ4選」をご覧下さい。
M.2は記事内にもあるように端子の規格ですから,中身はSATAだったりPCIeだったりUSBだったりします.M.2が必ず高速なわけではありません.M.2で発熱が大きいものはPCIeを採用して高速処理をするもので,小型化の影響では(全くとは言いませんが)ありません.またM.2はmSATAに対してはほぼ完全上位互換と言えるので,マザーボードが対応していないとかでなければメリットデメリットで比較するものでもありません.それにさすがに分かっているとは思いますが「小型化に貢献した」はメリットとは言いません.
コメントありがとうございます。
記事内では、「M.2発熱の原因の全ては小型化にある」と捉えられかねない記載をしておりましたが、これは確かに不適切でした。ご指摘頂き感謝します。
microSATAがないですね。
mSATAに言及するなら、microSATAにも言及して欲しいです。
M2SSDには、PCI TypeとSATA Typeがあると聞きましたが、DESKTOPマザーにM2ソケットが2つあるときそれぞれ別TYPEを用意する必要があるのでしょうか。
次のDESKTOP制作時に、初めてのRAID構築したいと考えていますがいかがなものでしょう?
現在は5世代のCPU対応のASUSマザーを使用してますがM2ソケットは1つです。これもSSD256GBのMAINドライブで運用してますが、さらに高速運用ができると言う事でしょうか?
大変お詳しそうなのでアドバイスをいただきたいと思います
マザーボードにPCIe対応のM.2スロットが2基あり、尚且つRAID機能が備わっている場合、2つのPCIe SSDを組み込んでRAID 0を構成することで転送速度を大幅に引き上げることが出来ます。
ただしその場合、両SSDともメーカーと型番を統一させることが好ましいかと思います。
参考になりました。表記について気付いたことです。
1.少し古くなったHDD内蔵のノートパソコンをSSDに乾燥して→「乾燥」は「換装」
2.「当てはまることでは無い」の「無い」は「ない」がいいです(補助形容詞なので)。
M.2、mSATA、SATAの違い(規格だけでなく形状、用途も含めて)が大変良くわかりました。
ありがとうございます。