レビュー

EzBook X4実機レビュー:Celeron N4100搭載で順当進化した14型ノート

  • 2018-07-16
  • 2018-08-07
8/10
  • Gemini Lake世代のCPUとM.2 SSD
  • 14型大画面でありながら、本体重量はMacBook Air 13と同じ1.35kg
  • 片手で持ってもたわまないフルメタルボディ
  • バックライト付きで打ちやすいキーボード
  • 300ドル弱 = 3万円台という安さ
  • TN液晶ディスプレイのため、視野角がイマイチ
  • いまだにUSB-Cを搭載しておらず、専用のAC充電器が必須

中華タブレット・パソコンでお馴染みのJumperが手がける最新ラップトップ「EzBook X4」。今月の初めころGearBestにて注文し、その実機が遂に届いたので、早速レビューをお届けします。

Intelの新世代(Gemini Lake世代)CPU「Celeron N4100」や、eMMCよりも高速なSATA SSDを搭載することで、性能面ではEzBook 3 Proから順当進化。また、外装はオールメタルで、キーボードには念願のバックライトが備わるなど、筐体にもさらなる磨きが掛かっています。

お値段300ドル以下 = 3万円前半のいわゆる“バジェットノート”は他にも数多くありますが、性能面でも品質面でも他者よりも一歩先を征くEzBook X4は、現状ベストバイといえる一台かもしれません。


Jumper EzBook X4 Celeron N4100 + 4GB RAM + 128GB SSD

Jumper EzBook X4の主なスペック

OSWindows 10 Home (日本語対応)
プロセッサーIntel Celeron N4100 4コア/4スレッド 1.1GHz〜2.4GHz
ストレージ128GB SATA SSD (M.2 2242)
メモリ4GB DDR4L オンボードタイプ
ディスプレイ14インチ 1,920 x 1,080ピクセル TN液晶 タッチ操作には非対応
グラフィックチップIntel UHD Graphics 600
光学ドライブ無し
バッテリー駆動時間7.6V / 4,800mAh 36.48Wh 公称4~5時間駆動
ワイヤレスWi-Fi 802.11b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
接続端子USB 3.0 x2、Micro HDMI x1、3.5mmオーディオジャック x1、Micro-SDカードスロット x1、電源 x1
サイズ横333 x 縦220 x 厚み13mm
本体重量公称1,363g (実測1,344.9g)

梱包状態と付属品について

白い化粧箱ではなく、簡素な作りのダンボール箱。

Jumper EzBook X4 パッケージ

外装は心もとない感じでしたけど、肝心の中身はしっかり保護されていました。

Jumper EzBook X4 パッケージ

箱の中身はノートパソコン本体とコンセント直挿し式の充電器。

Jumper EzBook X4 同梱物

充電器は手のひらに収まるほどコンパクトなので、持ち運びも十分現実的。

Jumper EzBook X4 充電器

筐体について

EzBook AirやEzBook 3 Proをはじめ、当ブログではこれまでいくつかのJumper製パソコンをご紹介してきましたが、モデルチェンジを重ねるごと目に見えて品質が改善されてきました。

約一年半ほど前にレビューした「EzBook Air」に比べると、塗装の質や剛性は比べ物にならないほど良くなってますし、より洗練されたデザインに仕上がっており、MacBook Air辺りと比べても見劣りしないビルドクオリティだと感じましたよ。(あくまでも筆者の個人的な感想です)

片手で持ち上げてもたわまないフルメタルボディ

金属製筐体を積極的に取り入れてきたEzBookシリーズですが、今作EzBook X4は剛性がより高まり、外面はスタイリッシュなのに片手で持ち上げてもビクともしません。旧型のEzBook 3 Pro並かそれ以上にガッチリしてます。

Jumper EzBook X4 筐体

天板にはこれまで通りJumperのロゴが描かれており、それ以外はなにも無いシンプルなデザイン。ロゴが気に食わないよ!という方は、某林檎ステッカーかお気に入りのシールでも貼っておきましょう。

Jumper EzBook X4 天板

縁はダイヤモンドカットが施されており、高級感すら感じたり。

Jumper EzBook X4 ダイヤモンドカット

キーボード面と液晶面をつなぎ合わせているヒンジ部分は、よくありがちな黒いプラスチック製ではなく(おそらく)金属製で、筐体と統一感がとれています。

もしかすると個体差あるのかもしれませんが、EzBook 3 Proのヒンジは硬く、上蓋を開けづらいという難点を抱えていたのですが、このEzBook X4は程よい固定感で、机においた状態で片手で開閉できました。

Jumper EzBook X4 ヒンジ

ビデオチャット等に用いるWebカメラは、画面の上に備えられています。レンズを保護するためか、カメラの周りにはゴム製のリングが設けられており。表面から出っ張っているのでちょっと不格好。

Jumper EzBook X4 Webカメラ

重量1.3kgちょい。特別軽くはないが、持ち運びも現実的

手持ちのはかりに乗せてみたところ、EzBook X4の本体重量は約1.35kgあり、14インチディスプレイを備えているにも関わらず、MacBook Air 13,3インチと全く同じ重量に抑えている訳です。

1kg切るモバイルノートも珍しくない今の時代、1.35kgの本機がモバイルノート謳うのは相応しくないかもしれませんが、持ち運びが難しくなるような重さではありませんし、3万円前半という安さを考えれば納得できる水準でしょう。

Jumper EzBook X4 重量

拡張端子は中華PCお馴染みの構成

本体側面にある拡張端子は変わり映えせず、いつもどおりの構成。

右側面には、フルサイズのUSB 3.0ポート、Micro SD/SDHC/SDXCカードスロット、3.5mmオーディオジャック、充電端子がそれぞれ1基ずつ備わっています。

Jumper EzBook X4 右側面

オーディオジャックと電源端子、ぱっと見た感じ区別がつかないほど似ているため、挿し間違えを防ぐべくラベルが貼られていました。いっそのこと、PD対応のUSB Type-Cに置き換えてしまえばよいのに…なんて思っちゃいますが、コストに響いてくるのでしょうか?

Jumper EzBook X4 電源ポートとイヤホンジャック

反対側の左側面には、フルサイズのUSB 3.0とMicro HDMi端子が付いています。

Jumper EzBook X4 左側面

内部構造

裏面カバーはネジ止めされており、トルクスではなく普通の十字型ドライバーさえあれば取り外せます。…と分かれば、分解したくなるのがガジェッターのサガ。

Jumper EzBook X4 裏面

SSDスロットを覆っているカバーは、2つのネジを外すだけで簡単に開けることができ、M.2端子へアクセスできます。SSDの形状はM.2接続のType2242で、128GBがプリインされていますが、同規格(M.2 Type2242、SATA 3.0)であればより大容量なものに換装することも可能。

Jumper EzBook X4 SSDカバー

さらに10個のネジを外すと、筐体内部が丸見えに。36.48Wh(7.6V 4,800mAh)のリチウムイオンバッテリーが半分近くを占めています。

発売当初、GearBest.comの販売ページには「Largest RAM Capacity: 8GB」「RAM Slot Quantity: Two」との記載があり、当ブログでも「RAMスロットは2つあり最大8GBまで増設可能」とお伝えしましたが、後に誤りであったことが判明。実際に確認してみましたが、メモリは4GBのオンボードタイプで、やはり空きスロットは見つけられませんでした。

Jumper EzBook X4 筐体内部

遂にバックライト付いたキーボード

黒いプラスチックキャップにシールを貼り付けたチープなキーボードを永らく採用してきたEzBookシリーズですが、EzBook X4ではメタル調のキャップに入れ替えられ、あの如何にもなプラっぽさは綺麗サッパリ消えました。指紋が目立ちにくいのも嬉しいポイント。

念願のバックライトまで付いちゃいました。Fnキーとスペースキーの同時押しで、バックライトオフ→弱→強を切り替えられます。

キーの沈み込み(キーストローク)はごく一般的な1mm程度で、キー同士の間隔(キーピッチ)も19mmと標準的。柔らかすぎず硬すぎない程よい反発具合で、打鍵音が耳に障るということもなく、長時間のタイピングもストレスなくこなせるでしょう。

難点というか注意点を挙げるとするならば、エンターキーやBackspaceの右隣にHomeやPgUp/dn等のファンクションキーが設けられていること。キーボード全体が1cmほど左へズレているため、不慣れなうちは、例えば「K」のつもりが「L」を打ってしまう…なんてミスが頻発してしまいます。

また、電源ボタンがBackspaceの近くに備わっているため、勢い余ってBackspaceターン!したつもりが不意のスリープ突入…なんてことにもなりかねませんね。

これは中華ラップトップ全般にいえることですが、「かな」や「変換」等が省かれたUS配列になるため、IMEの英数↔日本語を切り替える度に「Alt」と「~」を同時押しせねばなりません。今後も海外PCを積極的に使っていきたいという方は、この際JISから脱してUSへ乗り換えてしまうのも一つの手かもしれません。

感度良好でマルチタッチにも対応のトラックパッド

Jumper EzBook X4 トラックパッド

トラックパッドのデザインも一新。キーボード同様、筐体と統一感のとれたメタリック仕様になり、縁に施されたダイヤモンドカットが全体的な質感を高めています。

下の写真は左側がEzBook X4で右側がEzBook 3 Proで、一回り大きくなっていることが分かりますね。

Jumper EzBook X4とEzBook 3 Proのトラックパッド

もちろん個体差あるのかもしれませんが、タッチ感度はEzBook 3 Proと比べ物にならないほど改善されており、ゲーム除けばマウス無しでも快適に操作できます。

下にスクロールしているはずが上へ戻ってしまったり、カーソルが飛んでしまう等々、EzBook 3 Proのトラックパッドは不具合続きでしたが、しっかり解消されていました。

3本指や4本指のマルチタッチも安定していて、ウィンドウ切り替えや仮想デスクトップ切り替えといったWindows 10のジェスチャー機能に完全対応しています。

ただ、押し込んでクリックした際のカチカチ音が耳につくため、静かな車内や図書館での使用は避けたほうが良いかもしれません。

ディスプレイはTN方式のため視野角イマイチ

続いてディスプレイについて。

解像度は1,920 x 1,080ピクセル = フルHD。11~12インチクラスでフルHDとなるとどうしても可読性に欠け、125%に拡大しないと目が疲れてしまう印象ですが、14インチであれば等倍表示(ドットバイドット)も現実的かなと。その場合、デスクトップPCと変わらぬ作業スペースを手に入れられる訳ですから、画面左半分でブログ書いて右半分で資料を映すといった同時作業も捗ります。

しかし残念ながらパネルはTN方式。今の時代、どの角度から見ても色度変移が少ない「IPS液晶」や「有機EL」などが主流ですが、EzBook X4はTN液晶。コストを抑えられる一方、視野角や発色は投げ捨てているといっても過言ではなく、中華PCですら最近はあまり見かけなくなった方式です。

発色は仕方ないにしても、視野角の狭さにストレス感じる方は多いでしょう。左右斜めから見た場合はそれほど気にならないものの、上下の視野角が著しく低いため、上から覗き込むような体勢では白っぽく変色してしまいます。

ディスプレイ表面は非光沢加工が施されているので、周囲光の映り込みをそこそこカットしてくれます。真正面から見る分には概ね快適です。

【2018年8月5日追記】後にIPS液晶を搭載したモデルがリリースされました。価格はTN液晶モデル(279.99ドル)よりも50ドル高い329.99ドルで、既にGearBest.comにて販売が始まっています。(販売ページへ)

パフォーマンス・ベンチマーク結果

Gemini Lake世代のCPU「Celeron N4100」

Atom Z3735F → Atom x5-Z8350 → Celeron N3450の流れでモデルチェンジを重ねてきたIntelの超省電力CPU。2018年登場したGemini Leke世代はApollo Lakeの後継で、TDP(消費電力)を据え置いたまま僅かなクロックアップを果たし、L2キャッシュは2MBから4MBへ。

EzBook X4には「Celeron N4100」が搭載されており、言葉どおりCeleron N3450の後継にあたるモデル。CPUのベースクロックこそ1.1GHzで変わりないものの、ターボ時のクロックが2.2GHzから2.4GHzへ引き上げられたほか、GPUはHD Graphics 500からUHD Graphics 600へ増強されています。

Webブラウジングや軽い写真編集なら快適

新世代のCeleronとはいえ、結局はAtomの延長みたいな位置づけですから、クリエイティブな作業には適しているとはいえません。ただ、世代交代重ねるごとパワーが底上げされている事は確かで、Atom x5-Z8350マシンよりも明らかにキビキビしたレスポンスを感じます。

WebブラウジングやYoutubeでの動画視聴、軽い写真編集程度であれば、そこそこ快適といえるレベル↓

「Minecraft」をプレイしてみた

依然としてグラフィックは弱いため、「Minecraft」などの3Dゴリゴリゲームは厳しいですが、設定次第では遊べなくもないかな…?といったところ↓

Geekbench 4

CPUの処理能力を測るベンチマーク「Geekbench 4」のスコアは、シングルコアスコアが1,828点、マルチコアスコアが5,133点という結果に。

他の中華パソコンと比べてみました↓ マルチコアスコアに至ってはCeleron N3450の約1.2倍・Atom x5-Z8350の約2.5倍で、Core m3-6Y30をも上回りました。300ドルアンダーのパソコンにしてはなかなか健闘していますよ。

  • マルチコアスコア
  • シングルコアスコア
  • Teclast F6 ProCore m3-7Y30
    5336 2658
  • Jumper EzBook X4Celeron N4100
    5133 1828
  • Xiaomi Mi Notebook Air 12Core m3-6Y30
    4527 2159
  • Jumper EzBook 3 ProCeleron N3450
    4268 1391
  • GPD PocketAtom x7-Z8750
    3462 1165
  • Jumper EzBook AirAtom x5-Z8350
    2077 736

Cinebench R15

3Dグラフィックの処理性能を調べる「Cinebench R15」は、OpenGLが8.75fps、CPUが175cb。

ドラクエXベンチマーク

ドラゴンクエストXのベンチマークも走らせてみました。HD低画質が2,549点、HD標準が2.003点、FHD標準が1,093点、FHD最高が891点で、いずれも旧世代のCeleron N3450と大差無い結果に。

デバイス CPU / GPU HD 低 HD 標準 FHD 標準 FHD 最高
Jumper EzBook X4 Celeron N4100
UHD Graphics 600
2549 2003 1093 891
Jumper EzBook 3 Pro Celeron N3450
HD Graphics 500
2329 1830 985 873
Teclast F6 Pro Core m3-7Y30
HD Graphics 515
7209 5675 3638 2979
CHUWI Hi10 Plus Atom x5-Z8350
HD Graphics
1226 1068 789 643

CrystalDiskMark

SSDの転送速度を「CrystalDiskMark」で調べてみたところ、シーケンシャル読み込みは563MB/s、書き込みは478MB/sを叩き出しました。

eMMC搭載のEzBook 3 Proだと、シーケンシャル読み込み100MB/s・書き込み50MB/s程度しか出ませんでしたが、EzBook X4はSATA SSD搭載ということで、比べ物にならないほど高速です。

電池持ちと充電時間

標準のWebブラウザ「Edge」でYoutubeのフルHD動画をフルスクリーンで再生し続け、バッテリー残量を逐一ログとして残すという原始的な方法で調べたところ、100%から5%に至るまでの時間は335分 = 5時間35分でした。EzBook 3 Proとほぼ変わらず。

同梱される充電器用いた場合、フル充電が終わるまでおよそ155分 = 2時間35分掛かりました。

価格と購入方法について

今回ご紹介してきた「Jumper EzBook X4」は、GearBest.comやGeekbuying.comやBanggood.comなどの海外通販サイトにて販売中で、価格は300ドル前後。現状での最安はGearBestで、フラッシュセールにつき279.99ドル = 約3.1万円です。また、後にIPS液晶モデルもリリースされ、そちらは329.99ドル = 約3.7万円で販売されています。

Jumper EzBook X4 Celeron N4100 + 4GB RAM + 128GB SSD

おまけ:海外通販でお買い物する方法

「海外ガジェットは面白そうだけど、個人輸入には不安を感じる...」と、いまいち踏み出せない方へ。海外通販の使い方や決済方法について下の記事にまとめていますので、参考にして頂ければ幸いです↓

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