Jumper EzBook 3 Pro レビュー:金属筐体でたわまない中華ノートPC
- 2017-08-21
- 2018-04-16
中華製のノートパソコンは日を重ねるごとに急速な進化を遂げており、格安スマホならぬ「格安パソコン」も実用的といえるよう製品が増えてきました。中でも、JumperやCHUWI、Teclastなどは最安級を極めるメーカーで、国内では考えられないようなコスパの良さが魅力的で、少数派ではあるものの国内のガジェット好きな方々に支持されています。
今回レビューするのは「Jumper EzBook 3 Pro」というノートパソコン。CPUはAtomよりちょっと高性能なCeleronを搭載し、メモリは余裕のある6GB、それに加えフルHDのIPSディスプレイなど、エントリーモデルながらも程よいスペック構成。そして、それらを良質なアルミボディに収めています。
気になる価格は249.99ドル=約2.7万円。流石に「激安」とは言い難いですが、軽作業においては十分な実用性を発揮するほか、筐体の作りはお値段以上のクオリティだと感じました。実際の使い心地や性能、そして電池の持ち具合はいかほどか、詳しくチェックしていきます。
今回レビュー用として「Jumper EzBook 3 Pro」の実機をGearBest様より提供頂いたため、タイアップ記事となっています。ステルスマーケティングではありませんし、中立で率直なレビューを致します。
Jumper EzBook 3 Pro
目次
正真正銘の金属製ボディで、MacBook Airを連想させるシンプルデザイン
シンプルこの上なく手触りも良好な天板
開封して真っ先に目にするのが本体天板。つまり第一印象となるわけですが、まずデザインに関してはシンプルこの上なく、Jumperのロゴ以外は何もありません。
また、中華製のノートパソコンといえば「プラっぽい」みたいなイメージがありますが、今作のEzBook 3 Proはヒンジ部分以外はアルミの外装をまとっています。「メタル風のプラスチック」ではなく、正真正銘のアルミボディです。金属特有のマットな質感で、安っぽさを感じさせない外観と手触りは好印象ですね。
トラックパッドがシルバーならMacBook Airと瓜二つ
上蓋を開いてみました。
中華ノートPCの大半はApple社のMacBookシリーズにインスパイアされており、というよりノートパソコンにおけるテンプレと化している訳で、EzBook 3 Proも例外ではありません。フォルムやデザインはMacBook Airそっくりで、トラックパッドをシルバーに塗装したら瓜二つです。
ド定番の見慣れたデザインではあるものの、すっきりまとまっていて良いかと。
ヒンジの最大角度は約130度
ヒンジの最大角度を測ってみたところ、130度に届くか届かないかといった感じで、並のノートパソコンと同等です。ガタツキなどは無くしっかりしていますが、やや固めに調節されているのか、開閉時に重みというか抵抗感を受けます。
1cmの引き締まった左右ベゼル
本体をスタイリッシュに見せるための工夫として、画面左右のベゼルを細めており、その幅はちょうど1cm(実測)。今の時代、ベゼルレスデザインを取り入れたノートパソコンも珍しくありませんが、1cm程度なら野暮ったさを感じることはありません。
一般的なキーボード配置
視点を下へ移して、キーボード周りをチェックしてみます。海外製品なので当たり前の話ですが、キー配列はJIS(日本語)ではなくUS式で、「かな」「英数」が無い代わりに、大きなスペースキーが配置されています。
「え、じゃあ英数と日本語の切り替えはどうするの?」と疑問に思われる方も居るかと思いますが、例えばGoogle日本語入力などをお使いの方なら「Alt + ~」のショートカットで万事解決。この件に関しては「やっと分かった!Windows USキーボードでの日本語↔英数切替方法」の記事にて詳しく解説しています。
左右側面のポート
EzBook 3シリーズは極度な薄型化を図っていないため、拡張ポートは割りと充実しています。まず右側面ですが、奥から電源ポート、USB 3.0、Mini HDMIが設置されています。また、電源ポートの隣にある小さな穴にはLEDランプが埋め込まれており、充電中はこれが赤く光ります。
反対の左側面には、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0、Micro SDカードスロットがあります。本体の厚みからして、フルサイズのSDカードスロットも装備できそうな気もしますが、残念ながらMicroにとどまり、SDを使うにはUSBのハブ等が必要です。
キーボードの感触は予想以上に良かった
中華ノートパソコンを手にした際、筆者は真っ先にキーボードをチェックします。コレなしでは使えませんからね。まあ値段が値段なのであまり期待していませんでしたが、その想像は良い意味で裏切られ、しっかりと打鍵感を得られました。
キーストロークが1mmほどあるため、沈み込み具合で言えばMacBook AirとProの中間くらいでしょうか。ペタペタでもなく、逆にバネの力が強すぎることもなく、メールの返信やブログのメンテナンス作業などもストレスなく出来ました。
ただ、印字はプリントではなくシールなので、ヘビーな使い方をすれば擦れて無くなりそうです。それに、バックライトが省かれているのも安さの秘訣。
一点気をつけたいのが、電源ボタンが他のキーそっくりな見た目・押し心地であるということ。その直下にはBackSpaceがあるため、文字を消すつもりで電源ボタンにうっかり触れてしまうと、作業中にも関わらずスリープしてしまいます。
持ち運ぶかは別として、筐体がたわまないのは嬉しい
最近では本体重量1kgを切るノートパソコンも珍しくない中、EzBook 3 Proは1.4kgなので、「モバイルノート」に位置づけるには重すぎる気がします。とは言いつつも、かつては一世を風靡したMacBook Air 13インチが1.35kgなので、持ち運びも十分現実的かと。
まあ、持ち運びよりかは自宅に据え置いて使うのに適したマシンですが、それでも良質な筐体というのは触れていて心地よいものです。ほぼ全てアルミで作られたEzBook 3 Proは、プラ製のマシンに比べ剛性が高く、隅を持ち上げても筐体が殆どたわまないのは嬉しいポイント。
これまで触れてきた中華ノートパソコンとしては、Xiaomi Mi Notebook Airに次ぐ良質さだと感じました。
ちなみに、本体厚は15mm。MacBook Airが17mmなので、薄さの点においては勝っています。
トラックパッドの感度が悪く、無線マウスが欲しくなる
EzBook 3 Proは13.3インチのノートPCということで、キーボード周りのスペースには程よい余裕があり、トラックパッドも窮屈さを感じさせない大きさです。それは良いのですが、操作性というか感度がイマイチで、長時間の作業をするなら無線マウスが欲しくなります。
具体的に何が駄目かというと、2本指によるスクロール。以前レビューした「Jumper EzBook Air」では、そもそも2本指スクロールさえ出来なかったので、それに比べれば確かに進化はしています。しかし感度に難があり、下にスクロールしているのに何故か一瞬上へ戻ったり、動きがカクついたりと、WebブラウジングやExcelシートの編集などではストレスを感じるレベルです。
ボディとキーボードはなかなかの出来栄えですが、トラックパッドが足を引っ張ってしまっている印象。ちなみに、ほぼ同価格である「CHUWI LapBook 14.1」のトラックパッドは良好なので、パッドを多用される方にはそちらをお勧めしたいと思います。
ローエンドながらも、それなりに健闘しているスペック
スペック表
OS | Windows 10 Home |
---|---|
プロセッサー | Intel Celeron N3450 4コア/4スレッド 1.1GHz〜2.2GHz |
ストレージ | 64GB eMMC |
メモリ | 6GB DDR3 |
ディスプレイ | 13.3インチ 1,920 x 1,080ピクセル (フルHD) IPS液晶ディスプレイ |
グラフィックチップ | Intel HD Graphics 500 |
光学ドライブ | 無し |
バッテリー駆動時間 | 7.6V/4,800mAh 36.48Wh |
接続端子 | USB 3.0 x2、MiniHDMI x1、3.5mmオーディオジャック x1、Micro SDカードスロット x1、充電ポート x1 |
サイズ | 横315 x 縦208.5 x 厚み15mm |
本体重量 | 1.4kg |
CPUはCHUWI LapBook 14.1と同じ「Celeron N3450」
CPUは、最近の中華ノートパソコンへの採用例が多い「Intel Celeron N3450」で、事実上は超省電力型「Atom」の後継ぎとなります。
「4コア/4スレッド」という仕様を見ると、その性能に期待したくなりますが、Atom同様ローエンドには変わりません。ベンチマークスコアについては後ほど。
同一CPUを積むパソコン・タブレットをまとめると、こんな感じになります↓ ライバルとしては、CHUWIのLapBookシリーズ、OndaのXiaoma 21などが挙げられそうです。
- Jumper EzBook 3L Pro (ノート)
- CHUWI LapBook 14.1 (ノート)
- CHUWi LapBook 12.3 (ノート)
- Onda Xiaoma 21 (ノート)
- CHUWI Hi13 (タブレット)
- VOYO V1 VMac Mini PC (ミニPC)
メモリは6GBという見慣れない容量。オーバースペックにも思える
実行用メモリの規格はDDR3を採用しており、6GBという中途半端で見慣れない容量を積んでいます。
低価格パソコンにおいてメモリ量は多いに越したことはありませんが、その恩恵にあやかる場面は少ないでしょうし、オーバースペックにも思えます。いかんせんCPUの性能が低いため、Photoshopで写真編集など行うと、メモリよりも先にCPUが限界に達する感じです。
64GBのeMMCストレージを内蔵
体感速度に大きな影響を与えるのがOSとファイルを保管するストレージですが、最近の中華パソコンには総じてeMMCというフラッシュストレージが用いられているため、物理アクセスのハードディスクよりも断然レスポンスが良いです。
EzBook 3 Proには64GBのeMMCが内蔵されています。パソコンとしてはかなり心もとない容量ですが、軽作業に特化したサブ機としてなら問題なく使えますし、もし圧迫するようであればMicroSDを入れたり、後述する「M.2 SSDを増設する」なんて裏技もあります。
実際の使い心地とベンチマーク結果
Celeron N3450のベンチマーク等に関しては、過去記事「Celeron N3450を搭載するLapBook 14.1の性能・使い心地」にてご紹介していますが、おさらいを兼ねて再度検証したいと思います。
Webブラウジングやブログ更新等であれば極めて快適
何度もお伝えしているとおり、EzBook 3 Proはお世辞にもハイスペックとは言えないため、分相応の使い方をしなくてはなりません。
例えばWebブラウジングやブログ更新、メール管理やExcelで家計簿をつけるなど、軽作業であれば難なくこなしてくれます。下の画像は、右側でブログのメンテナンスをしながら左側でWebページを閲覧している様子ですが、タスクマネージャーのCPUメーターやメモリ使用率は極めて安定していることが分かります。
Geekbench 4
CPU周りの性能を調べるGeekbench 4のスコアは、シングルコアが1,391点、マルチコアが4,268点となりました。Atomのx5-Z8300やx5-Z8350は、マルチコアスコアが2,000点台なので、それと比べるとワンランク上のスコアを叩き出しています。
Cinebench R15
続いてグラフィック能力を測るCinebenchですが、OpenGLが12.04fps、CPUは131cbというスコア。
CrystalDiskMark
最後に、内蔵するeMMCの実力を把握すべく、CrystalDiskMarkによるディスクスピードテストです。
フラッシュメモリらしいレスポンスを感じていたので、少しばかし期待していたのですが、残念ながら読み込み書き込み共に100MB/sを突破せず。ランダムアクセスもeMMCにしてはやけに遅いですが、個々によってeMMCの型番・メーカーが混合している可能性も否定出来ないので、あくまでも参考程度に留めておいてください。
電池持ちと充電速度について
バッテリーの残量を1分毎にログとして残せるWindows用ソフト「GetSystemPowerStatus」を使って、EzBook 3 Proの電池持ちと充電速度を計測しました。
まずは駆動時間から。画面の明るさを80%ほどに設定し、EdgeブラウザーでYouTubeのフルHD動画を再生し続けたところ、以下のような結果となりました。残量100%の状態で計測を始めてから330分=5時間半後に6%まで減り、その後は自動的にシャットダウン。
YouTubeの動画を見続けても5時間以上動き続けてくれたので、Webブラウジングなら6〜7時間はいけそうです。格安ノートPCに手を出す以上、まず期待してはいけない電池持ちですが、EzBook 3 Proは並のビジネスノートに比べても遜色ない駆動時間を記録。省電力型CPUの強みを活かせているような気がします。
次に充電速度ですが、残量0%からの計測は出来なかったので8%から。50%に達したのは80分後、80%を突破した160分以降は徐々にスピードが落ちてゆき、フル充電されたのは開始から約200分後、つまり3時間ちょっと掛かりました。
なんと内部にM.2スロット有り!購入後にストレージ増設が出来る
GearBestの販売ページにあるQ&Aコーナーを見ていたところ、実に興味深い内容を見つけました。
Q:Hi, does this support 256gb M.2 ssd in the internal.
A:Yes, it supports 256gb M.2 ssd in the internal.
Thank you for your inquiry.Jumper EZBOOK 3 PRO Notebook DUAL BAND WIFI VERSION-$249.99 Online Shopping| GearBest.com
どうやら、内部にM.2のスロットがあるらしく、その真相を確かめるために本来裏蓋を取り外してみました。取り外すと言っても、通常のプラスドライバーさえあれば分解可能です。
開けてみたところ、バッテリーの上あたりにそれらしきスロットが見つかり、確認してみるとそれは確かにM.2 SSDを挿すための空きスロット。
しかし、対応しているのは小型なType2242のみで、最もポピュラーなType2280(細長いやつ)は収まりそうにありません。もし増設するなら、Transcend製のM.2(SATA 3.0) Type2242が良さそうですね。今後、もし機会があればSSDを別途購入し、増設にチェレンジしてみたいと思います。

Transcend SSD M.2 2242 SATA III 6Gb/s
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GearBestにて3万円以下で販売中
ここまで、Jumper EzBook 3 Proの使い心地から技術的な仕様などをお届けしてきましたが、如何だったでしょうか。
見た目も性能も電池持ちも、3万円以下のパソコンにしては上出来だと思いましたし、不安定なトラックパッドの挙動を除けば使い心地はおおむね良好です。「WebブラウジングやYouTube動画を大画面で楽しみたい」や「レポートや卒論等が書ければ良い」など、基本機能のみを求める方にはうってつけの一台かと思います。
EzBook 3 Proは、中国の通販サイトGearBest.comにて販売中で、記事を執筆している2017年8月21日現在の価格は249.99ドル=27,468円です。また、セールやクーポンコードによって更に安くなることも考えられるので、購入される方はGearBestトップページのセールコーナーや当ブログのクーポン配信ページなどをチェックしてみて下さい。

Jumper EzBook 3 Pro
おまけ:GearBestでお買い物する方法
「海外ガジェットは面白そうだけど、個人輸入には不安を感じる...」と、いまいち踏み出せない方へ。GearBestの使い方や決済方法について下の記事にまとめていますので、参考にして頂ければ幸いです↓
GearBestの解説記事↓
オンライン決済サービスPayPalの解説記事↓