iPhone Xを発売当日に入手したので実機レビュー!大きさや操作性など
- 2017-11-03
- 2017-11-06
いよいよ本日発売されたAppleの新スマホ「iPhone X」(アイフォーン・テン)を購入し、無事現物を手にできたので、早速ファーストインプレッションをお届けしたいと思います。
目次
入手するまで〜開封の様子
レビューに入る前に、iPhone Xを入手するまでの経緯や開封の様子をざっくりご紹介します。
10月27日、予約に挑むも当日分を逃す
10月27日、時計が16:01を指したのと同時にAppleのオンラインストアへアクセスし、iPhone Xの購入を試みました。がしかし、いくら更新してもメンテナンス表示のままで、予約開始直後にiPhoneのストアアプリを開いてみても一向に繋がらず。
やっとこさ繋がったかと思えば、時既に遅し。予約開始から僅か10分ほどなのに配達予定日は11月14日になってしまい、当日手にしてやる!との一心で予約をキャンセル。
仕方ないので発売前日(11月2日)から渋谷に並び、発売当日のお昼にゲット
こうなると、当日手にできる最後のチャンスは、予約なしの店頭販売のみ。最もストック豊富であろうApple 銀座へ直行しましたが、筆者が到着した2日21:00頃には既に長蛇の列で、警備員の方より「これ以上並べません!」との案内が。
ここで一気にプラン変更。Twitter上の情報では、「渋谷はまだ余裕ありそう」との事だったので、銀座線に乗って渋谷へ行って参りました。深夜は雨と冷たい風に襲われ、某国のテンバイヤー勢に割り込まれそうになりましたが、2日22:00〜3日14:00の実に16時間、辛抱強く待ち続けました。(クレイジーです)
今回は、警備の方が常時見回りして下さり、並んでいる順と氏名をまとめた名簿まで作られました。なので、割り込みによるトラブルは少なかった…はず。(先頭近くで揉めてたと聞きましたが…)
筆者は先頭から200番目ほどの位置でしたが、その時点では全モデル在庫があり、お目当てのスペースグレイ 64GBモデルを無事に入手完了!
記念撮影↓
開封の儀
では、開封の様子をざっくりお届けします。
パッケージは、毎回のごとく白を基調としたクリーンなデザインで、天面にはiPhone Xの原寸大写真がプリントされています。
開封した様子↓
シンプルな説明書やSIMカードスロットの取り出しピンと共に、恒例のAppleロゴステッカーも付属。
充電器とケーブルは他のiPhoneと同じで、5V/1AのUSB充電器とLightningケーブルが同梱。
イヤホンはLightning接続の「EarPods」。
3.5mmオーディオジャックで繋ぐ一般的なイヤホンを使うためには、Lightning端子を3.5mmジャック(イヤホン)へ変換する専用アダプターが必要です。
巨大で美しい画面
前面のほぼ全てを埋め尽くす5.8インチディスプレイ
iPhone Xの顔とも言えるのが、本体前面をほぼ全て埋め尽くす大きなディスプレイ。対角5.8インチですが、縦横比は従来の16:9よりも縦長な19.5:9(2.16:1)となっており、角の丸みや上部の切り欠けと融合することで、これまでにないユニークなデザインに仕上がっています。
一部では「ベゼルレス」とも言われていますが、それは語弊があると言わざるを得ません。黒フチとフレームを合わせて4mmほどはあるので、左右エッジスクリーンのGalxay Note 8に比べると野暮ったさは感じてしまうので、どうせならもっと突き詰めて欲しかったなと思います。
有機EL採用のSuper Retinaは黒の沈み込みが美しい
縦2,436 x 横1,125ピクセル、ピクセル密度458ppiという数字は、歴代のどのiPhoneよりも勝り、Appleはこれを「Super Retina HD ディスプレイ」と名付けました。
今のスマホは高解像度が当たり前となり、それぞれの違いを肉眼で確認するのは困難ではありますが、iPhone SEや8などの解像度控えめな機種に比べると、Xは明らかに精細。アイコンやテキストの輪郭など細かな部分は、この上なく滑らかに表示されます。
また、iPhoneとしては初となるOLED(有機EL)のディスプレイを採用しており、従来のLCDディスプレイとは根本的に仕組みが異なります。バックライトを要するLCDに対し、有機ELは画素そのものが発光する自発光型のため、黒色を映し出す時には消灯してしまえば良いのです。奥の深い「真の黒色」を再現出来るので、黒っぽい映像を映すと画面と筐体の境が分からなくなるほど。
アプリの対応状況やスクリーンショットは?
現時点での課題といえば、サードパーティ製のアプリがこの特殊なディスプレイに対応しきれていないこと。
YouTubeやTwitter、Facebookなどの大手サービスは既に対応済みで、大きな画面を最大限活用できます。Google Mapの場合はまだ非対応で、上下に黒い帯が出てしまいますが、近いうちに改善されるでしょう。
ただ、ポケモンGOをはじめとするゲームは尽く非対応。ゲームの場合、ただ縦に引き伸ばすだけでなく、ボタンの配置や大きさなど多くの調整が必要になるので、過去のRetina対応やiPad対応の時みたく浸透するには時間が掛かりそうです。
個人的にとても気になっていたのが、スクリーンショット。切掛け部分をどう処理するかな?と疑問でしたが、実際撮ってみた画像を確認してみると、本来映らない領域がソフトウェア処理によって補完されていることが分かりますね。
いや、むしろその逆で、ソフトウェア上ではしっかり出力されているものの、それがディスプレイへ反映されていないだけ…?
凝縮感のあるボディ
大きさはiPhone 7/8とあまり変わらない
ディスプレイはiPhone Plus並に大きいですが、本体面積はiPhone 8をほんの少し広げたような感じで、持ち心地もさして変わりません。ポケット内での収まりの良さは抜群なので、Plusユーザーの方はもちろん、iPhone 6〜8ユーザーの方なら乗り換えてもさほど違和感は感じないはず。
Androidスマホだと、5インチ相当のボディサイズでしょうか。
欲を言えば、軽量化にも注力してくれれば尚良し。重量は174gとiPhone 7 Plusに迫るほどなので、アルミ製で軽いiPhone 7(138g)に比べると、物凄い重厚感を感じます。
ガラスに包まれた背面
背面はiPhone 8や8 Plus同様に一枚のガラスでコーティングされており、「ツルツル」というより僅かに滑り止めの効果があります。iPhone 7以前のモデルはサラサラとしたアルミで、指紋が目立ちにくかった反面持ったときの滑りやすさが難点でしたが、iPhone Xは適度なつっぱり感があり手にフィットするので、ケースをつけずに使う身としては大変ありがたい。
ガラスの耐久性はiPhone 8と同じくらいと思われ、爪や鍵で軽く引っ掻く程度であれば、傷つく可能性は低いでしょうし、少なくともiPhone 7ジェットブラックみたいな脆さは感じません。
しかし、地面へ落下させてしまうと割れてしまう可能性大なので、背面ケースと画面保護ガラスはセットで用意しておくと安心ですね。その分だけ重くなり分厚くなる訳ですが…。
本体を一周するメタルフレーム
iPhone Xも8も共に、表と裏のガラスをメタルフレームでサンドするかたちになりますが、つや消し加工の施された8に対し、Xは光沢感を主張した仕上がりとなっています。
従来よりも大きくなったサイド(電源)ボタン
具体的な使い方に関しては次のトピックで解説しますが、右側面のサイドボタンは電源ボタンというより多機能ボタンとして機能するようになり、今までよりも押す機会が増えています。耐久性を高める狙いがあったためか、ボタンは以前よりも2倍ほど大きくなり、分かりやすくそして指が届きやすくなりました。
ボリュームボタンとサイレントスイッチに関しては、位置も大きさもiPhone 8とほぼ同じ。
全く新しい操作方法
画面下に表示されるバーがホームボタンの代わり
前面を一目見れば分かるとおり、iPhone XにはiPhoneのシンボルとも言える「丸いホームボタン」がありません。その代わりに設けられたのが、画面の一番下に表示される細長いバーで、ジェスチャーによって様々な操作を行う仕組みです。
まず、基本的な「ホームへ戻る」動作ですが、バーを下から上へ素早くスワイプすればOK。以前のコントロールセンターを呼び出すような感覚ですね。単純明快ではあるものの、以前よりも指の動きが大きくなってしまったので、賛否両論ありそうです。筆者は一押しすれば済むホームボタンの方が好きかな。
下から上へスワイプした後に指を止めると、最近使ったアプリが並ぶタスク画面が出てきます。以前はボタンを連続押しするだけでスムーズに呼び出せたので、これもまた少々面倒くさい。
おさらい:スワイプして放すのがホーム、スワイプして止めるのがタスク
コントロールセンターと通知センターはいずれも上からスワイプ
では「コントロールセンター」は何処へいったかというと、メニューバーを上から下へスワイプすることで出てきます。ただ、これだと通知センターと被ってしまうので、切り欠け(センサーハウジング)を挟んで右側を下へスワイプするとコントロールセンター、左側をスワイプすると通知センサーを呼び出せる仕組みとなっています。
この辺はAndroidを意識させる作りですね。
Siriの呼び出し
ホームボタンが廃されたことで、音声アシスタント「Siri」の呼び出し方法も変わりました。方法は2つあり、従来同様に「Hey Siri !」と呼びかけるか、右側面のサイドボタンを1〜2秒ほど長押しすることで起動できます。
電源の切り方
電源の切り方も変わっており、以前は電源ボタンを長押しすることで「スライドで電源オフ」が出ましたが、iPhone Xではサイドボタンと音量下げボタンの同時長押しとなりました。
知らないまま手にすると、「あれ、電源切れない!?」と焦ってしまいそうですね。
スクリーンショットの撮影方法
何気に使う頻度の多い「スクリーンショット」ですが、ホームボタンの無いiPhone Xではサイドボタンと音量上げボタンの同時押しで撮影できます。
ボタンの位置さえ指に覚え込ませれば、片手でもぱしゃりと撮れるので、これは良いと思います。
顔認証「Face ID」を試した感想
これまで、指紋を読み取る「Touch ID」が採用されてきたiPhoneですが、ホームボタンが無くなったことでそれに代わる新たなセキュリティ機能が求められました。そこでAppleが出した答えとは、iPhone Xの目玉機能である「Face ID」で、ユーザーの顔を読み取ってロック解除、つまり「顔パス」が出来ます。
ディスプレイ上部の切り欠け部分に集約された複数のセンサーと、A11 Bionicチップに内蔵されているニューラルエンジンを組み合わせることで、正確かつ高速な認証を実現しているとのこと。
一番楽しみにしていた機能なので、早速試してみました。まず精度に関してですが、これはもう指紋とは比べ物にならないほど正確で、失敗することはまずありません。成功率100%とは言い切れませんが、限りなくそれに近いです。
難点を挙げると、ロック解除の度に下から上へスワイプしなくてはならないこと。認証そのものはiPhoneへ目を向けた瞬間に行われますが、スワイプという動作が時間を食っている感じで、本体を手に取ってからロックが解除されるまでの一連の流れは、ボタン一押しで済むTouch IDよりもワンテンポ遅れる印象。
もっとも、使い始めてまだ間もないので、コツを掴めばもっとスムーズにこなせるのかもしれませんが。
歴代のどのモデルよりも優秀なカメラ
広角+望遠のデュアルカメラで、両方とも光学手ぶれ補正に対応
iPhone Xの背面には、Plusシリーズのように2つのカメラレンズを組み合わせた「デュアルレンズカメラ」が備えられていますが、その性能は8 Plusを上回ります。
従来同様、広角+望遠の組み合わせとなりますが、注目したいのは望遠カメラ。7 Plusと8 Plusの場合は広角カメラのみ手ぶれ補正に対応していて、もう片方の望遠カメラは非対応ですが、対するiPhone Xは両カメラとも手ぶれ補正に対応。
また、8 Plusの望遠レンズはf/2.8に対しXはf/2.4と明るくなっているので、2倍ズーム撮影時のノイズやブレが軽減されています。
早速試し撮りしてきました
1倍ズーム↓
2倍ズーム↓
1倍ズーム↓
2倍ズーム↓
4K 60fpsの動画撮影が可能
iPhone Xと8、8 Plusは動画撮影においても強化されており、以前は30fps止まりだった4K解像度(3,840 x 2,160ピクセル)の動画を、その倍の60fpsで撮れるようになりました。
パラパラ漫画をイメージしていただけると分かりやすいでしょう。fpsとは1秒間あたりのコマ数を示しており、これが上がれば上がるほど滑らかな映像になります。
著しく向上した処理性能
6コアに増強されたA11 Bionicチップ
iPhone Xと8、8 Plusは、Appleが開発した最新型のSoC「A11 Bionic」を搭載しています。TSMCの10nm FinFETプロセスによって製造されたこのチップの威力はiOSデバイスだけに留まらず、現時点のスマホの中ではぶっちぎりのトップ。
CPUは、2基の高クロックコアと4基の効率重視コアから構成されるヘキサコア(6コア)で、4コアA10 Fusionよりも多コア化。GPUもApple独自仕様となっており、3コアのものが組み込まれています。
Appleによれば「CPU能力はA10 Fusionに比べ20%、グラフィック能力は30%向上した」としていますが、実際のベンチマーク結果がそれを証明しています↓
Antutu Benchmarkは20万点超え!
早速、ベンチマークアプリの王道「Antutu Benchmark」を走らせてみました。総合スコアはなんと20万の大台を超えた211,072点で、その内訳は3Dスコア:82,113点、UXスコア:66,068点、CPUスコア:47,969点、RAMスコア:14,922点となりました。
Geekbench 4はMacBook Proに匹敵するほど
続いて、CPUの処理性能を調べるGeekbench 4。1コアあたりの性能を示すシングルコアスコアは4,193点、そして総合力を示すマルチコアスコアは10,167点という結果で、マルチコアに至ってはMacBook Pro 13インチの最上位版(9,608点)と同等のスコアを記録しました。
2つの新たな充電方法
Qi規格によるワイヤレス充電
iPhone Xは充電方式も大きく変わっており、ケーブルを繋がなくても充電できる「ワイヤレス充電」に対応。背面素材がガラスへ変わったことにより、充電パッドから発せられる磁束をキャッチ出来るようになり、「置くだけ充電」を実現しています。
ケーブル脱着を繰り返さずに済むので、ユーザーにストレスを与えないだけでなく、Lightning端子が故障してしまうリスクも減っています。とはいえ、充電しながら持ち運べない、3mm以上の厚みのあるケースを付けられないといった制約もあるので、状況によってはケーブル充電の方が便利だったりもします。
ワイヤレス充電器は別売りとなりますが、Apple純正の「AirPower」(2018年登場予定)や実質純正のBelkin製やmophie製を使わずとも、Qiに対応したものなら大方は問題なし。
USB-PDによる急速充電。ただし、付属する充電器とケーブルでは使えない
案外と見落としがちなのが、USB-PD(Power Delivery)による急速充電。USB-PDはUSB-C端子限定かと思いきや、iPhone 8やXはLightning端子を介したPDに対応しており、通常よりも速く充電されます。
ただし、付属する充電器とケーブルはいずれもPD非対応なので、その恩恵を受けられません。実現するには、MacBook・MacBook Proを充電できる29W/61W/87WいずれかのUSB-C充電器に加えて、USB-C to Lightningケーブルが必要となり、純正品を買うと1万円ほどは別途かかってしまう計算になります。
ケーブルに関しては、純正品を買うのをお勧めしますが、充電器は「Anker PowerPort+ 5」や「dodocool USB-PD対応 60W 6ポート充電器」などのPDに対応したサードパーティ製でも代用できます。
新しいもの大好き!な人のための一台。今は様子見モードがベストだよ
いくつもの目新しい要素が詰め込まれ、これまでにないデザインへ刷新されたiPhone Xですが、それらの要素が実用性へ結びつくとは限りませんし、従来よりも操作が複雑になっている部分もあります。
また、他のスマホを凌駕するベンチマークの結果も目を引くものの、ここまでのハイスペックを要求される場面は極めて限られており、iPhone 7や同等クラスの高性能スマホとの違いはほぼ体感出来ないといって良いでしょう。
iPhone 8が8万円ほど、8 Plusが9万円半ば(いずれもSIMフリーの税込み価格)であるのに対し、12万円のiPhone Xは明らかに割高。ざっくり言えば、iPhone 8 Plusとの違いは顔認証の有無だけなので、顔認証と目新しいデザインに3~4万円を払うのかどうかという話になります。
あくまでも個人的な所感ですが、よほどの新しい物好き(筆者みたいな人)やAppleの熱烈なファンでなければ、iPhone Xに12万円の価値を見出すのは難しいかなと思うので、ベーシックな8や8 Plusを選ぶのが無難かと。特に、型落ちiPhoneからの買い換え勢にとっては、慣れ親しんだ操作方法そのままで使える8・8 Plusの方が易しいですし、お財布にも優しいです。
iPhone Xをゲットするにしても、各メディアから配信される詳細なレビュー記事などをじっくり精査し、一度実機に触れてみることを強くお勧めします。これまでiPhoneや他のスマホに比べると、作りや操作性にはかなりの癖があり、誰しもが馴染めるとは思えなかったので…。
その他、気になるポイント
イヤホンジャックは非搭載
iPhone 7以降に登場したモデルはすべて3.5mmオーディオジャックを備えておらず、iPhone Xもその例外ではありません。
同梱されるのはLightning接続のEarPodsイヤホンで、従来のイヤホンはLightningをオーディオジャックに変換アダプターを介すことで使えますが、基本的にはAirPodsをはじめとするBluetooth接続のオーディオ機器が好ましいといえます。
防水性能はiPhone 7や8同等
iPhone 7や8同様に、iPhone XもIP67の防塵・防水性能を有します。IP6は最高レベルの粉塵、IPX7は8段階中7の防水性能を示し、いずれもかなりの耐性ですが、Appleはあくまでも「耐水」と断っているので過信は禁物です。