モバイラー御用達のUMPC「GPD Pocket」レビュー!性能や使い心地
- 2017-09-25
- 2017-11-08
半年ほど前、当ブログのニュース記事にて7インチの超小型ノートパソコン「GPD Pocket」をご紹介しましたが、このたび通販サイトGeekbuying.com様より実機をお借りすることが出来ました。(この場を借りてお礼申し上げます。)
使い始めてから間もないですが、遂に念願のレビューへ辿り着けたという事で、早速その詳細を読者の皆様へお届け!
今回の記事では、「そもそもGPD Pocketとは何ぞ?」という初歩的な部分から、本体の作りや使い心地、そしてベンチマークや電池持ちなど、全貌を明らかにします。そして後日、充電やディスプレイ出力に関する検証結果や、周辺アクセサリーに関する記事を追って投稿し、計3回のレビューを予定しています。
では本編へGO!
今回レビュー用として「GPD Pocket」の実機をGeekbuying様よりお貸し頂いたため、タイアップ記事となっています。ステルスマーケティングではありませんし、中立で率直なレビューを致します。
GPD Pocket
目次
「GPD Pocket」って何者?
「GPD Pocket」の存在をまだよくご存知でない方のために、まずは本機種の概要についてざっくりチェック。
GPD Pocketは、中国深センの電子機器メーカーGPD社が開発した超小型ノートパソコンで、「ウルトラモバイルパソコン」=「UMPC」というカテゴリに属します。
以前に同社は「GPD XD」や「GPD WIN」などのゲームパッド付きAndroid・Windowsデバイスを開発しており、GPD(GamePad Digital)の社名にもあるとおり「ゲームパッド」が主力製品になりますが、GPD Pocketのコンセプトは「ポケットに入る超小型なパソコン」。なので、以前のようなゲーム向けではなく、ビジネス向けモデルという位置付けです。
今年の春、クラウドファンディング「Indiegogo」にて出資者を募り始めたところ、わずか2ヶ月ほどでなんと300万ドル=3.3億円もの資金を集めてしまったツワモノで、今はGeekbuying.comをはじめとする海外通販サイトから入手出来ます。
開封の様子と同梱物
ではいよいよ開封の様子をお届けします。パッケージは真っ黒で、所々にGPDのロゴや「Pocket」の文字が金色に光り輝きます。
付属してきた周辺機器は、USB-C充電器、ケーブル、そして3極プラグのイヤホン。どれも白で統一されています。
充電に用いるケーブルの両端には、両面リバーシブルな形状のUSB Type-C端子が付いており、向きや方向を気にせず使えるのは大変有り難いです。
それを繋ぐ充電器もUSB-Cで、最大出力は24Wとなっています。GPD Pocket本体だけでなく充電器も小柄で、スマホを買うと付いてくるようなコンパクトなサイズ感。
保護フィルムも付属しているので、末永く使い込むなら貼ってあげましょう。
説明書および保証書は英語と中国語のみかと思いきや、国内からの出資者が多いためか、しっかり日本語記載もありました。
本体を取り出しました!液晶面は柔らかい紙で保護されていて、梱包状態は極めて良好。
凝縮感のある良質なアルミボディ
ロゴすら無いシンプルな天面
本体天面にはメーカーのロゴすら無く、シンプルこの上ないデザインに仕上がっています。全ての面がアルミで作られているので、表面のサラサラとした手触りが心地よく、安っぽさは微塵たりとも感じません。
オープンシェル状態・ヒンジ
前面には、画面を持ち上げるための切り欠けがあり、そのフォルムはまるでミニチュアなMacBook Pro。
画面を開けるとこんな感じ。手のひらにパソコンが乗っているという、何とも不思議な感覚と共に、ただならぬ凝縮感が伝わってきます。
キーボード面は縁ぎりぎりまで物理キーが専有し、トラックパッドの代わりにポインティング・スティックが取り付けられています。
ヒンジは180度の完全フラットとはいかないものの、一般的なノートパソコンよりも開くことが出来ます。
裏面
本体裏面の四隅には、滑り止め効果のあるゴム足が取り付けられており、小さいながらもテーブル上での安定感は抜群。左下にあるグリル穴はスピーカーで、見ての通りステレオではなくモノラルです。
ポートや排熱口のある右側面
右側面には排熱口があり、内部で発生した熱をここから逃がす仕組みです。そこから奥に向かって、USB Type-Cポート(充電)、microHDMI、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0が1基ずつ備わっており、残念ながらSDやMicroSDカードの差込口はありません。
本体の小ささ故に端子は最小限ですが、ハブを用いればある程度の拡張性は確保できますし、フルサイズUSBがしっかり備わっている点は評価できます。
ただ、USB-Cポートは出力が弱いようで、ハブを介してUSBメモリやハードディスクを挿しても認識しませんでした。ひとまず、USB-Cは充電とディスプレイ出力に限って使ったほうが良さそうです。
ハブの組み合わせや充電に関する情報は、後日追ってお伝えします。
すっきりとした左側面
反対側の左側面は、凹凸のないフラットな形状。
パソコンとは思えないほどコンパクトなサイズ感
GPD Pocketは「Pocket」の名の通り、スーツの内ポケットに入ってしまうほどコンパクトなので、外でもパソコン環境を欲するモバイラーにとっては理想形と言える一台です。他のパソコンや皆さんお使いのスマホ・タブレットと比べれば、その筐体が如何に小さいかを実感出来るでしょう。
まずは12.5インチ(Xiaomi Mi Notebook Air 12)と13.3インチ(Jumper EzBook 3 Pro)と比較してみます。面積はおよそ4分の1で、ポメラやゲーム機に見えてしまうほど小型。
続いてスマホやタブレットと比較。驚いたことに、7.9インチタブレット(Xiaomi Mi Pad 3)よりも省面積で、iPhoneやHuawei Mate 9と並べても違和感なく溶け込んでしまうサイズ感ですね。
厚みは18.5mmで、スマホx2〜3台分といったところ。
重量を測ってみたところ、公称値480gを30gほどオーバーした517.5gでした。一般的なノートパソコンの2〜3分の1、スマホx3台分ほどの重さなので、機動性は抜群。

GPD Pocket
キーボードとポインティング・スティック
適度に設けられたピッチとストロークによって打ちやすいキーボード
手持ちの定規で測ってみたところ、キーピッチ(キーの中心から隣のキー中心までの距離)は横方向に16mm、縦方向に15mm。一般的なキーボードは18〜19mmほどなので、不慣れなうちは窮屈に感じますが、ポジションを維持すればキー同士が干渉しあう事はありません。
ストローク(キーの沈み込み)は約1mmあり、通常のノートパソコンと変わらぬ水準。
中華製の安価なノートパソコンでは、やたらとキーが柔らかかったり、逆にバネが強すぎて指に負担がかかったりと、なかなかベストな打ち心地を得られませんが、GPD Pocketは程よい打ち応えと打鍵音が返ってきます。
キー配置は無理矢理感が否めないので、慣れを要する
キーボードの配列はJIS(日本語)ではなくUS(英語)配列ですが、一般的なUS配列とはまるで違い、限られたスペースに沢山のキーを詰め込んだあまり、“無理矢理感”の否めない配置となっています。
文字キーのストロークを確保するため、括弧やコロン、二重引用符が外側へ移され、CapsLockもギリギリまで小型化。そのため、一般的なキー配置が染み付いた手で触ると、横方向への打ち間違えが頻発。(Sを打ったつもりがAを打っているなど)
この癖の強い配置に慣れるには、相応の時間を要するなと思いました。
ポインティング・スティックはスピードを調節すれば使いやすい
GPD Pocketにはトラックパッドを配置する余裕が無く、その代わりとして、左右に分割されたスペースキーの間に「ポインティング・スティック」が埋め込まれており、同じものがLenovoのThinkPadシリーズにも採用されています。(ThinkPad用のパーツに付け替えられます!)
丸いポインターの上に指を置き、左右上下に力を入れることでポインターを動かす仕組み。ポインター表面は小さな突起があり、滑り止めの効果があります。
物は試しと使ってみましたが、感度はとても良好で、遅延やカーソル飛びなどは皆無。以前レビューしたThinkPad X1 Carbonと比べても遜色ない操作感です。
これはあくまでも筆者の感触ですが、標準の状態ではポインターの追従がやや遅く感じました。なので、設定アプリ→デバイス→マウスとタッチパッド→その他のマウスオプションから「ポインターオプション」の項目で、速度を11段階中8に変えました。
無線マウスならBluetoothが吉
もし、ポインティング・スティックが使えこなせそうになかったら、無線接続のマウスという手もあります。
USBレシーバーで接続するタイプのマウスだと、たった1基のフルサイズUSBを専有してしまうので、理想を言えばBluetooth接続のもの。また自宅で使う場合には、LogitechのMXシリーズのように、接続先のデバイスをワンプッシュで切り替えられるものがお薦めです。
筆者の使っているマウス↓

Logitech MX Anywhere 2 Wireless Mobile Mouse
性能は控えめだが、ブラウジングや動画視聴なら何ら問題なし
CPUはAtom最上級のx7-Z8750を搭載
スペックの核となるCPUは、Intel AtomのCherry Trail世代では最上級のx7-Z8750を採用。プロセスルールは14nmで、4コア/4スレッド構成、ベースクロック1.6GHz〜ターボ・ブースト時は最大2.56GHzで動作します。
最近の中華パソコンは、Atomの実質後継であるCeleron N3450を載せる事が多いですが、x7-Z8750はそれとほぼ同性能を備えます。尚且つ、TDPは2Wに抑えられており、低発熱・省電力というAtomならではの特性を持ちあわせています。
Geekbench 4のスコアはシングルコアスコアが1,165点、マルチコアスコアが3,462点でした。
これまでレビューしてきた他のデバイスとの比較↓
メモリは余裕のある8GB
実行用メモリ(RAM)は8GB内蔵されているので、アプリを複数立ち上げてもかなり余裕があります。実は、開発を始めた当初は4GBと予定されていましたが、出資額が想定を遥かに上回ったため2倍に増強されたという経緯があります。
もっとも、CPUが控えめなAtomなので、4GBでも十分足りた気がしますが、メモリは多ければ多いほど有利なので嬉しいポイントですね。
GPD Pocketで出来ること・出来ないこと
まず、省スペックなGPD Pocketに向いている作業を挙げると、WebブラウジングやYouTubeやニコ動での動画視聴、Microsoft OfficeやGoogleドキュメント/スプレッドシート/スライドでのファイル作成、メール管理など、軽作業に限られます。
それに、筆者みたく「手軽に持ち運べるブログ更新マシンが欲しい!」といったニーズにも応え、「外出先でも為替取引がしたい」という方はMetaTraderを入れればOKですし、艦これ等の2Dゲームならそこそこ快適に動きます。
「スマホでもやろうと思えば出来るけど、物理キーボードや大きな画面でこなしたい」「でも、場所を取る上に持ち運びづらいパソコンは要らない!」という層を狙った、スマホとノートPCの掛け合わせ的な製品なのです。
逆に「出来ないこと」はありませんが、スペックが追いつかないために不向きな用途は存在し、ずばりCPUやGPUに負荷がかかる作業は諦めましょう。具体的に言うと、Adobe Premiereでの動画制作やPhotoshopでの写真編集、Cubaseでの音楽制作、Minecraft等の3Dゲームなど。
MicroSDには非対応だが、ストレージは128GBと大容量
先ほどもお伝えしたように、MicroSDやSDカードによる容量拡張は出来ませんが、内蔵ストレージとして128GBのeMMC 5.1を搭載しています。そもそも、軽作業に限って使うであろうこのマシンにおいて、128GBに不満を感じる場面は訪れないはず。
GPD Pocketのスペック表
今回お借りした実機のスペックは以下のとおり。
OS | Windows 10 Home |
---|---|
プロセッサー | Intel Atom x7-Z8750 4コア/4スレッド 1.6GHz |
ストレージ | 128GB eMMC 5.1 |
メモリ | 8GB LPDDR3-1600 |
ディスプレイ | 7インチ 1,920 x 1,200ピクセル(323.45ppi) マルチタッチ操作対応 |
グラフィックチップ | Intel HD Graphics 405 |
光学ドライブ | 無し |
バッテリー駆動時間 | 7,000mAh |
接続端子 | USB 3.0x1、USB 3.0 Type-Cx1、microHDMIx1、オーディオ端子x1 |
サイズ | 横180 x 縦106 x 厚み18.5mm |
本体重量 | 実測517.5g(公称480g) |

GPD Pocket
ディスプレイが何気に凄いぞ!WUXGA解像度でタッチ操作も可
7インチの1,920 x 1,200解像度で、iPhone並に高精細
ディスプレイサイズは7インチで、iPad miniよりも一回りコンパクト。解像度は横1,920 x 縦1,200ピクセルで、フルHDよりも縦に120ピクセル多く、「WUXGA」という規格に該当するようです。
1インチあたりのピクセル数を示すppiは323.45。iPhone 6/7/8とほぼ同じで、MacBook Airの約2.5倍、MacBook Proの約1.5倍も高密度となっています。
しかし、ドットバイドット(等倍表示)すると、目を凝らさなければ文字を読み取れなくなるため、せめて150%以上には設定したいところ。下の画像は、スケーリング150%=表示領域1280 x 720で当ブログを表示した様子ですが、フルサイズできっちり収まっており、可読性も問題ありません。(画像をクリックすると実寸表示できます↓)
タッチ操作に対応しているので、タブレット感覚でも使える
GPD Pocketの操作手段は、内蔵のポインティング・スティックもしくは無線マウスの二択かと思いきや、実はマルチタッチ操作にも対応しているので、「物理キーボード付きタブレット」のような感覚でWindows 10に触れられるのです。
操作性や感度が素晴らしく、Webページのスクロールや画像の拡大縮小など、指先で思うがままに操れるので、ぐーたら寝そべりながらも使えちゃいます(笑)
数年前にも一世を風靡したUMPCですが、その当時、タッチ操作を可能とする機種なんてそうそうお目にかかれませんでした。GPD Pocketは、昔懐かしいフォルムでありながらも今の技術を詰め込むことで、時代に即したUMPCとして蘇った訳です。
表面のテカリ具合は残念。外で使うならアンチグレアフィルム必須
画面表面はガラス剥き出しの状態なので、黒っぽい画面を表示すると周囲光の反射が激しく、屋外で使うならアンチグレアフィルムは必須アイテムと言えるでしょう。次期モデルが出るとすれば、アンチグレア化を希望します。
幅広いラインナップが魅力で、筆者もスマホを買う度にお世話になっているPDA工房さんにて、防気泡・防指紋・反射低減の三拍子揃った「Perfect Shield GPD Pocket」が販売中です。

PDA工房 Perfect Shield GPD Pocket
電池持ちは4〜5時間。公称の「12時間駆動」は盛り過ぎ
性能と同じくらい重要な電池持ちですが、まず断言できるのは、公称の「12時間駆動」は流石に盛り過ぎであるということ。
実のところ、どれほど持つの?と疑問に思ったので、1分おきに電池残量をログとして残せるアプリケーションを用いて、正確な駆動時間を調べてみました。ディスプレイの明るさを50%に設定し、EdgeブラウザーでYouTubeのフルHD動画を流し続けたところ、残量100%から10%に減るまで310分=約5時間という結果に。
小さい割には頑張っている印象ですが、やはり通常サイズのノートパソコンに比べれば劣るので、外出時にはUSB-PDに対応したモバイルバッテリーが欲しくなります。
付属のUSB-C充電器を用いたときの充電時間(5%→100%)は2時間40分で、スマホ並ですね。

GPD Pocket
GPD Pocketの購入方法と価格、技適について
ここまでGPD Pocketの全貌を詳しくチェックしてきましたが、最後に購入方法と価格についてご紹介します。
今回レビューにあたって、通販サイトのGeekbuying.com様より実機をお借りしたため、どうしても宣伝臭くなってしまいますが、そういった大人の事情抜きにこの業者での購入はお勧めできますよ。
というのも、現在Geekbuyingでは、GPD Pocket本体に加えて4点の周辺機器がおまけとして付いてくるキャンペーンを実施中で、全部コミコミで485.19ドルとなります。
おまけの内容をリストアップしましたが、なかなか豪華!これらが揃えば、さほど不自由を感じること無く使い込めそうですね。
- 3基のUSB+SDカード+MicroSDカードの5in1な拡張ハブ (9.99ドル)
- 付け替え用のポインティング・スティック (4.99ドル)
- 純正の専用ケース (19.99ドル)
- MicroHDMI→HDMIケーブル (4.99ドル)
また、海外製ガジェットを使うなら切っても切れない「技適問題」ですが、以前Geekbuyingのスタッフさん曰く「プリセール(7月10日)以降には技適が付く」との案内を頂きました。
GPDも、リリース当初から「現在のロットには技適マークがある」と明言しているので、ほぼ間違いなく技適付きのモデルをゲット出来るでしょう。
海外からの個人輸入になりますが、中学校レベルの英語スキルがあれば問題なくお買い物出来ます。(筆者もそのうちの一人) UMPCの究極とも言える「GPD Pocket」をなるべくお得にゲットしたい!という方は、是非Geekbuyingの当キャンペーンをチェックしてみて下さいね↓

GPD Pocket