ASUS、「ZenFone 4」5機種を発表。全モデルでデュアルカメラ装備
- 2017-08-19
- 2017-10-04
台湾の電子機器メーカーASUSTeKは、一昨日8月17日に台北市内にてイベントを開催し、その場において自社の新たなスマートフォン「ZenFone 4」シリーズ5機種を正式に発表しました。
全貌が明らかとなったのは、「ZenFone 4」「ZenFone 4 Pro」「ZenFone 4 Selfie」「ZenFone 4 Selfie Pro」「ZenFone 4 Max Pro」の5機種で、既にロシアで発表されている「ZenFone 4 Max」を含めると計6機種のラインナップとなります。
今回の目玉は「カメラ性能」で、なんと全てのモデルにおいてデュアルレンズカメラを搭載。トレンド化して物珍しさも薄れつつあるデュアルカメラですが、ZenFone 4シリーズはイメージセンサーやレンズの明るさ、更には画像処理の技術までもを徹底的に追求しており、中身の伴ったカメラ力に期待が集まります。
当初は各機種の概要をざっくりまとめたニュース記事に仕上げようかなと思っていましたが、いつの間にかボリュームのある”まとめ記事”になってしまいました。下に、各トピックへジャンプできる目次がありますので、ご活用下さい。
目次
シリーズの顔である「ZenFone 4」はミドルレンジながらも着実に進化
ZenFone 4 (ZE554KL) | Phone | ASUS Global
全ての機種の原型、いわゆる「無印モデル」の名称は「ZenFone 4」で、現在国内でも販売されているZenFone 3の後継機であることは名前からして明白。デザインのコンセプトやラインナップ上の立ち位置は、従来と変わりません。
実は、2014年に発売された4インチの小型・低価格スマホと全く同じ呼び名ですが、もちろんそれとは別物。
仕様表
OS | Android 7ベース ASUS ZenUI 4.0 |
---|---|
プロセッサー | 下位版:Qualcomm Snapdragon 630 8コア(Cortex A53) 2.2GHz 上位版:Qualcomm Snapdragon 660 8コア(Kryo 260) 2.2GHz |
ストレージ | 64GB eMCPストレージ |
メモリ | 下位版:4GB、上位版:6GB |
ディスプレイ | 5.5インチ 1,920 x 1,080ピクセル IPSディスプレイ |
内側カメラ | 800万画素/F2.0 |
外側カメラ | メイン:IMX362センサー/1,200万画素/F1.8/画角83度/デュアルピクセル 広角:800万画素/F2.2/画角120度 |
バッテリー容量 | 3,300mAh |
拡張 | USB Type-C x1、3.5mmオーディオジャック x1 |
SDカード | 最大2TBのMicroSDカード(スロットはNano-SIM兼用) |
センサー | GPS、指紋認証、加速度、電子コンパス、ジャイロ、近接、周囲光、RGB、ホール |
SIMカード | Nano-SIMカード x2 |
幅 x 厚さ x 高さ | 155.4 x 7.5 x 75.2mm |
本体重量 | 165g |
カラー | Moonlight white(ムーンライトホワイト)、Mint Green(ミントグリーン)、Midnight Black(ミッドナイトブラック) |
標準+広角のデュアルカメラを搭載
最も大きな変化といえば、背面のカメラがデュアルレンズになったこと。
ZenFone 3には、背面上部の中央に角丸四角形のカメラが備わっていましたが、ZenFone 4ではその位置にASUSロゴが設けられ、2眼化されたカメラユニットは左上(iPhone 7 Plusと同じ位置)にあります。またこれは細かな違いですが、従来はカメラが筐体表面より若干飛び出ていましたが、ZenFone 4ではフラットになりました。
デュアルカメラと一口に言っても、Huawei機のようなカラー+モノクロやiPhone 7 Plusみたく広角+望遠など、方式は様々。ZenFone 4はこのどちらにも当てはまらず、片方は標準のレンズでもう片方は広角レンズとなります。
通常の撮影ではメインカメラを用いますが、それとは別に設けられた広角撮影モードへ切り替えると広角レンズが働き、120度の画角で撮影できるというもの。後述するZenFone 4 Proの2眼カメラとは、仕組みが根本的に異なります。
メインカメラのセンサーは4も4 Proも同じで、ソニー製の「IMX362」を採用しています。デュアルピクセルによる高速なオートフォーカスや、1/2.55インチの大きなセンサーサイズが特徴的です。
最大のスペックアップはSoC。Snapdragon 630または660を採用
カメラだけでなく処理性能も着実に向上しており、下位版ではSnapdragon 630(GPUはAdreno 508)を、上位版ではSnapdragon 660(GPUはAdreno 512)を搭載します。両者とも、プロセスルール14nmで開発されたオクタコア(8コア)CPUを内蔵しますが、Kryoコアを用いるSD660の方が高性能です。
ベンチマークアプリ「Antutu」の開発元が公開したデータによると、同アプリでのSD660の総合スコアは117,925点とのことで、Nexus 6PやGalaxy S6に載っているSD810を上回るばかりか、SD820に迫るほどの結果だというから驚き。
下位版のSD630に関しては69,234点とのことで、ZenFone 3のSD625が6.3万点前後であることを考えると、劇的な進化とは言い難いですね。
背面のZenデザインは継承。指紋認証センサーは前面に移った
デザインは従来のコンセプトを受け継いでいるため、全体的な印象はZenFone 3と変わりません。ホワイトとブラックの2モデルにおいては、背面にZenブランドの象徴とも言える同心円状ヘアライン加工が施され、メタルとガラスの融合による光沢感が目を引きます。
デュアルカメラの採用によりパーツの配置は変わっており、これまで背面にあった指紋認証センサーが前面下部へ移動し、ホームボタンに統合されました。
最上位機種「ZenFone 4 Pro」はスマホトップクラスの性能
ZenFone 4 Pro (ZS551KL) | Phone | ASUS Global
仕様表
OS | Android 7.1.1ベース ASUS ZenUI 4.0 |
---|---|
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon 835 8コア 2.45GHzx4 + 1.9GHzx4 |
ストレージ | 下位版:64GB、上位版:128GB |
メモリ | 6GB |
ディスプレイ | 5.5インチ 1,920 x 1,080ピクセル AMOLED(有機EL)ディスプレイ |
内側カメラ | IMX319センサー/800万画素/F1.9/画角87.4度 |
外側カメラ | 標準:IMX362センサー/1,200万画素/F1.8/画角83度/デュアルピクセル 望遠:IMX351センサー/1,600万画素/F2.6 |
バッテリー容量 | 3,600mAh |
拡張 | USB Type-C x1、3.5mmオーディオジャック x1 |
SDカード | 最大2TBのMicroSDカード(スロットはNano-SIM兼用) |
センサー | GPS、指紋認証、加速度、電子コンパス、ジャイロ、近接、周囲光、RGB、ホール、レーザー(オートフォーカス) |
SIMカード | Nano-SIMカード x2 |
幅 x 厚さ x 高さ | 156.9 x 7.6 x 75.6mm |
本体重量 | 175g |
カラー | Moonlight white(ムーンライトホワイト)、Pure Black(ピュアブラック) |
Snapdragon 835搭載で、他社のフラッグシップ機と肩を並べる
ZenFone 4 Proには、「Pro」の名に相応しいハイスペックな仕様が盛り込まれており、中でも存在感を放つのがQualcommによる最新SoC「Snapdragon 835」です。
ZenFone 3 Deluxeの最上位モデルには旧型にあたるSnapdragon 821が載っていますが、それを更に微細化(14nm→10nm)しコア数を従来の4基から8基に倍増させることで、性能を向上させつつも省電力化を実現。特に、グラフィック性能に直結するGPUは著しい進化を遂げ、新世代の「Adreno 540」は旧型530に比べ25%も高性能化しています。
昨日の記事にてご紹介した「OnePlus 5」という中華スマホも、同じくSD835を搭載するので、レビューの際に実施したベンチマーク結果がおおよその目安になるかと思います。
毎回おなじみのAntutu Benchmarkのスコアは、なんと18万点超えを記録。性能ほぼ同じのXiaomi Mi6は、筐体が防滴仕様になったのと引き替えに発熱が大きく、その影響を受けてかスコアは17万点台で頭打ち。
Xiaomi Mi6、Mi5s、iPhone 7の実機が手元にあるので、スコアを比べてみました。総合スコアに劇的な違いは見られないものの、特に差が出たのはGPUの性能を示す3Dスコアで、OnePlus 5はiPhone 7の約1.6倍、スナドラ821搭載のXiaomi Mi5sの約1.3倍となりました。
標準+望遠のデュアルカメラ搭載で、2倍光学ズームにも対応
無印ZenFone 4ではサブカメラが広角レンズでしたが、ZenFone 4 Proのデュアルカメラは標準+望遠の構成で、iPhone 7 Plusにも同様の方式が用いられています。
ズーム機能に注力した作りとなっており、2倍の光学ズームに対応します。ただし、1.9倍まではメインカメラ、2.1倍以降は望遠カメラによるデジタルズームとなるため、通常のカメラで言う光学ズームと解釈が異なる点は注意が必要です。
また、ZenFone 4 Proに限ってはメイン・サブ・フロント(自撮り用)の3つのカメラ全てにソニーのIMXセンサーを採用しており、ASUS曰くこれは世界初とのこと。
画面サイズは無印版と同じく5.5型だが、AMOLED(有機EL)を採用
画面サイズは無印版と同じ、というより現状あるZenFone 4シリーズは全て5.5インチですが、このZenFone 4 Proは液晶ではなく有機ELの一種である「AMOLED」というパネルを採用しています。
一般的な液晶ディスプレイはカラーフィルターの後ろにバックライトが仕込まれている一方、有機ELを用いたディスプレイは画素そのものが発光する自発光式。高いコントラストと深みのある黒が特徴的で、色彩も豊かになる傾向がありますが、直射日光を浴びると視認性が悪くなるという自発光式が故のデメリットも併せ持ちます。
前面カメラを2眼化してグループ撮影をも実現した「ZenFone 4 Selfie」と「ZenFone 4 Selfie Pro」
ZenFone 4 Selfie (ZD553KL) | Phone | ASUS Global
ZenFone 4 Selfie Pro (ZD552KL) | Phone | ASUS Global
ZenFone 4 Selfieの仕様表
OS | Android 7ベース ASUS ZenUI 4.0 |
---|---|
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon 430 8コア 1.4GHz |
ストレージ | 64GB eMCPストレージ |
メモリ | 4GB |
ディスプレイ | 5.5インチ 1,280 x 720ピクセル IPSディスプレイ |
内側カメラ | 標準:2,000万画素/F2.0 広角:800万画素/F2.4/画角120度 |
外側カメラ | 1,600万画素/F2.0 |
バッテリー容量 | 3,000mAh |
拡張 | MicroUSB x1、3.5mmオーディオジャック x1 |
SDカード | 最大2TBのMicroSDカード(スロットは独立。デュアルSIMとの共存可) |
センサー | GPS、指紋認証、加速度、電子コンパス、ジャイロ、近接、周囲光 |
SIMカード | Nano-SIMカード x2 |
幅 x 厚さ x 高さ | 155.66 x 7.85 x 76.2mm |
本体重量 | 144g |
カラー | Deepsea Black(ディープシーブラック)、Mint Green(ミントグリーン)、Rose Pink(ローズピンク)、Sunlight Gold(サンライトゴールド) |
ZenFone 4 Selfie Proの仕様表
OS | Android 7ベース ASUS ZenUI 4.0 |
---|---|
プロセッサー | Qualcomm Snapdragon 625 8コア 2.0GHz |
ストレージ | 64GB eMCPストレージ |
メモリ | 下位版:3GB、上位版:4GB |
ディスプレイ | 5.5インチ 1,920 x 1,080ピクセル AMOLED(有機EL)ディスプレイ |
内側カメラ | 標準:IMX362センサー/1,200万画素/F1.8/画角83度/デュアルピクセル 広角:500万画素/F2.2/画角120度 |
外側カメラ | 1,600万画素/F2.2 |
バッテリー容量 | 3,000mAh |
拡張 | MicroUSB x1、3.5mmオーディオジャック x1 |
SDカード | 最大2TBのMicroSDカード(スロットはNano-SIM兼用) |
センサー | GPS、指紋認証、加速度、電子コンパス、ジャイロ、近接、周囲光、RGB |
SIMカード | Nano-SIMカード x2 |
幅 x 厚さ x 高さ | 154.02 x 6.85 x 74.83mm |
本体重量 | 147g |
カラー | Deepsea Black(ディープシーブラック)、Sunlight Gold(サンライトゴールド)、Rouge Red(ルージュレッド) |
デュアルカメラを背面ではなく前面に搭載
ZenFone 4 SelfieとSelfie Proの特徴は、デュアルカメラを背面ではなく前面に備えている点で、「ZenFone 4の背面カメラ(メイン+広角)を前面に移植した」みたいなイメージがちょうど良いかと思います。
風景撮りより、むしろ自撮りにおいて広角レンズの恩恵は大きく、画角が広がったことによりグループ撮影も可能になります。「自撮り」だけでなく、いわゆる「自分たち撮り」(Selfies)も出来ちゃうわけですね。
ZenFone 4 Selfie Proでは、ZenFone 4と同じIMX362センサーをメインカメラに採用している上に、F1.8の明るいレンズを用いているので、画質に関しては期待しても良いでしょう。4K動画撮影からHDR撮影、デュアルカメラならではのポートライト撮影にも対応します。
ZenFone 4 Selfie(非Pro)は、Pro版のカメラよりかは明るさの面で劣るものの、広角カメラの画角は変わらず120度なので、使い心地を損ねることは無いでしょう。
ライトな印象のメタルボディ
本体背面の素材はSelfie、Selfie Pro共に合金で、指紋の目立ちにくそうなマットな質感。また、両機種ともカラーバリエーションはパステル調で、高級志向のZenFone 4と4 Proに対し、Selfieシリーズは若者層を意識したライトなデザインに仕上がっています。
個人的に、Selfie ProのRouge Red(ルージュレッド)やSelfieのMint Green(ミントグリーン)が気になりますね。
ZenFone 4ファミリーとしてはかなり軽量
また、本体の軽さではZenFone 4ファミリーの中でも突出しており、Selfieは144g、Selfie Proは147g。いずれも画面サイズは5.5インチなので、大きさに見合わない軽さです。
同じく5.5型の画面を備えるiPhone 7 Plusが188g、同サイズのHuawei P10 Plusが165g、5.7型のZenFone 3 Deluxeが172gであることを考えると、両機種がいかに軽量か分かります。
Selfieは2枚のNano-SIMに加え、Micro SDカードも同時使用可
ZenFone 4シリーズは全てNano-SIMカードスロットを2枚装備していますが、ZenFone 4 Selfie(非Pro)と後にご紹介するZenFone 4 Max Proにおいては、2枚のNano-SIMと1枚のMicroSDカードの共存が可能です。
ZenFoneに限らずデュアルSIM対応スマホの大半は、片方のSIMスロットがMicroSD兼用となっているので、3枚のカードを同時使用できるトリプルスロット構造は稀。一部のユーザーには大変喜ばれる仕様でしょう。
5000mAhバッテリー搭載のハイスタミナスマホ「ZenFone 4 Max Pro」
ZenFone 4 Max Pro (ZC554KL) | Phone | ASUS Global
仕様表
OS | Android 7ベース ASUS ZenUI |
---|---|
プロセッサー | 下位版:Qualcomm Snapdragon 425 8コア 1.4GHz 上位版:Qualcomm Snapdragon 430 8コア 1.4GHz |
ストレージ | 32GB eMCPストレージ |
メモリ | 下位版:2GB、上位版:3GB |
ディスプレイ | 5.5インチ 1,280 x 720ピクセル IPSディスプレイ |
内側カメラ | 1,600万画素/F2.0 |
外側カメラ | メイン:1,600万画素/F2.0/画角79度 広角:500万画素/F2.2/画角120度 |
バッテリー容量 | 5,000mAh |
拡張 | MicroUSB x1、3.5mmオーディオジャック x1 |
SDカード | 最大256GBのMicroSDカード(スロットは独立。デュアルSIMとの共存可) |
センサー | GPS、指紋認証、加速度、電子コンパス、ジャイロ、近接、周囲光 |
SIMカード | Nano-SIMカード x2 |
幅 x 厚さ x 高さ | 154 x 8.9 x 76.9mm |
本体重量 | 181g |
カラー | Deepsea Black(ディープシーブラック)、Sunlight Gold(サンライトゴールド)、Rouge Red(ルージュレッド) |
5,000mAhの特大バッテリーを搭載し、「最大46日間の4G待ち受け」を謳う
Maxは「ハイスタミナ」を意味し、その名のとおり筐体内には5,000mAhもの大容量なバッテリーが内蔵されています。他のモデルに比べモバイル性は損なわれ気味で、省電設計のためか処理性能も控えめですが、電池の持ちを最優先するユーザーにとってはうってつけの一台ですね。
「4G環境での46日間待ち受け」や「Wi-Fi接続での26時間Webブラウジング」との公称値が明かされており、これは現在国内で販売されているZenFone 3 Max(ZC520TL・ZC553KL)よりも断然優秀。実際の持ち具合は現物を確かめないと何とも言えませんが、少なくとも丸一日、使い方によっては2〜3日充電せずに使えそうなスペックです。
他のデバイスへ電力を供給する「リバースチャージ」
ここまでの大容量バッテリーを一台で消費しきれない時には、本機をモバイルバッテリーとして活用出来ます。
従来のZenFone Maxシリーズ同様、「リバースチャージ」(Reverse Charging)という機能が備わっており、同梱されるOTGケーブルを用いて他のデバイスを充電する仕組みです。